「フリースタイルダンジョン」が世間により広まったキッカケになったバトル

 「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」、そして「フリースタイルダンジョン」と、メディア・コンテンツとして採用された事で大きな注目を集め、爆発的にラッパーへの参入者を増すキッカケとなっているフリースタイル/MCバトル。

 ブームと言っても過言ではこの現象だが、そのシーンの中でも「King Of Kings」や「UMB」「ENTER」などと並ぶ屈指の規模を誇るバトルが「戦極MC Battle」。そして現在は「戦極」の開催の他、バトルでの全国ツアーの開催、「ダンジョン」において般若の通訳(?)を務める山下新治 a.k.a ACEやMOL53、田中光などバトルでも活躍するラッパーのマネージメントなど、バトルを取り巻く環境を整備しているのが、「戦極」を主宰しているMC正社員である。年間で400試合近くのバトルを見るという、日本でも屈指のバトル・アーカイバーでもある彼に、バトルの魅力を語り下ろして貰う。


 「フリースタイルダンジョン」において、現在は共にモンスター側としてチャレンジャーと撃破しているR-指定とCHICO CARLITO。ただし、「ダンジョン」においての両者の邂逅は、まずはファースト・シーズン:Rec2-1で行われた、チャレンジャーCHICO、モンスターR-指定というバトルにおいてであった。


 ちょこちょここの試合の解説はしてるんですけど、「ダンジョン」を語る上では欠かせない試合だし、この試合を一番おもしろく解説できるのは僕なんで(笑)、改めて。


 ダンジョンのファースト・シーズン:Rec2-1で行われた「CHICO CARLITO VS R-指定」は、「ダンジョン」がRec1の4回の放送を終えて、番組に登場するのは華のあるタレントじゃなくて、現場叩き上げの、世の中からすればほとんど名前の無いラッパーばかりで、しかも現場のバトルと同じ内容をそのままTVに持って行った「ダンジョン」が、「本当にこのコンテンツは世間に通用するのか」「バトルという方式が、TVのショーとして成り立つのか」っていう事を見極められ始める時期に行われた試合だったんですよね。


 その中で登場したCHICO CARLITOは、バトルでの戦績はあるけども、大きなリリースがあるわけじゃ無いから、本当に無名の存在だったと思う。CHICOは沖縄から上京して、TKda黒ぶちや崇勲と仲良くなって、フリースタイルを本格的に始めた奴だから、いわばTKとか崇勲みたいなラッパーの子供みたいな存在だったんですよね。その現場叩き上げのCHICOが「ダンジョン」に登場して、勝ち進んで、勝っていく度にどんどん格好良く、華が生まれていった。しかもCHICOのラップは、視聴者が聴いた瞬間にちゃんと格好いいなと思わせるラップだし、それが如実に伝わってくるのが「ダンジョン」っていうメディアの持っている魅力だとその時に感じましたね。


 そして、四人目のモンスターとして登場したR-指定は、UMBで三連覇(2012/13/14)を果たしてから、半年ぶりのバトルだったんですよ。だから、勝負勘みたいなものが鈍ってないのかとも思ったし、半年ぶりのバトルがテレビっていうプレッシャーもあったから、いつものR-指定のスゴさが出るのかなっていう不安も感じてて。


 そして、そのバトルでCHICOが最初にラップしたのは「決める最強のロン毛とロン毛/それ出来ないなら本でも読んで」って言葉だったんですよ。これはCHICOとR-指定がロン毛って事に加えて、チプルソ/PONY/D.D.S/晋平太「Devil’s tongue」って曲の、晋平太ヴァースからの引用と変化だったんですね。コアなリスナーならピンときたと思うし、晋平太さんが審査員席(ファーストシーズン当時)いるっていう事も含めて、上手いぶつけ方だなって。


 それに対してR-指定が返したのは、「4連覇に高まってるぜ/でもそのロン毛は絡まってるぜ」。これは2008年UMBでの「般若VSしろくま」戦に出てきたラインからの引用なんですよ。その意味では、ただの「ロン毛」に対しての切り返しじゃなくて、ラスボスに般若さんがいる事を踏まえた上での引用だった。その意味ではこの2人のラップは、今までのバトルの歴史を踏まえたスゴい高度な戦いだったんですよ。そして、その歴史の上に「フリースタイルダンジョン」があるんだとも思えたし、CHICOとR-指定がそれを担ったのが本当に面白かった。そして、ライム/フロウ/アンサーの高度さだけじゃなくて、R-指定は「トラブル/虎舞竜」とかその時々の話題を織り込んでいって。それこそ即興バトルの魅力だと思うし、それを放送が始まった初期の段階で出したR指定はヤバすぎる!


 結果、CHICOはR-指定に破れはしたけど、彼は確実に「ダンジョン」でヒーローになったチャレンジャーだと思うし、番組としても「ダンジョン」からヒーローが生まれる事が大事だと思ってたので、このバトルは印象深いですね。ファースト・シーズンREC2はこの戦いだったり、焚巻が般若さんまで辿り着いたりっていう、世間が『バトルってなんだ?』っていう疑問への解答が詰まってたと思うんですよね。だから、ダンジョンが世間により深くリーチしたキッカケになったバトルだと思いますね(談)。


■「AbemaTV presents フリースタイルダンジョン東西!口迫歌合戦」

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