LGBTの人々を悩ませる高いハードル…「性別変更」に手術は必要なのか?

 岡山県新庄村に住む臼井崇来人(うすい・たかきーと)さん(43)が、女性から男性への「性別の変更」を求め、裁判所に申し立てた。


 幼いころから女性として育てられるのが苦痛だったという臼井さんは、3年前に性同一性障害と診断された。性別変更を考えたきっかけは、現在のパートナーとの出会いだった。今年3月、2人は役所に婚姻届を提出したものの、女性同士の結婚にあたるとして受理されず、岡山家庭裁判所への不服申し立ても却下されてしまった。臼井さんたちが法律上の「家族」になるためには、臼井さんの「性別変更」の手続きがまず第一歩になるのだ。


 現在、戸籍上の性別を変更するためには「性適合手術」が必須で、女性の場合は「生殖腺」を除去することが条件とされている。しかし完全な男性機能が備わるわけでもない上、リスクも伴う。それにもかかわらず、法律が手術を強制すること自体がおかしいのではないか――。臼井さんは、そんなシンプルな問いかけから、手術を経ずに男性に変更できるよう求めたのだ。


 「法律で家族と認めてほしいのなら、手術すればいい」とい批判の声もあるという。臼井さん「治療はするけれど、自己責任でお願いします、とお医者さんに言われた。リスクを判断するためにも、たかだか20年足らずのデータしかない。その中で判断を迫ることを法律が強要するというのは、やりすぎかなと思います」

 一定の要件のもとでの性別変更を可能にした「性同一性障害特例法」が成立したのは2003年。これまでに6021人が性別を変えることを認められた。手術を希望する人は多く、治療を始めるまで2年待ちの人もいるという。一方、現代の医療技術では「性適合手術」のリスクは否定できないのが現状だ。2012年には男性に性別変更するために乳房の切除手術を受けた女性の容体が急変、死亡したケースもある。


 海外に目を向けると、オランダ・スペイン・アルゼンチンなど、手術なしで性別変更ができる国もある。中でも性別変更の先進国と言われるアルゼンチンでは、本人が宣言すれば、診断なしでも性別変更が可能だという。リオオリンピックでも、女性から男性になった選手でも特別な条件なしで男性枠として出場可能で、逆に男性から女性になった選手は、一部の男性ホルモンが基準値以下などの条件を満たせば出場できるようになっていた。


 日本の性別変更の法改正における難しさについて、法律面からLGBTの人々を支援している元弁護士の池田清美氏は「変えていくということになると、社会的な容認や理解から変えていかないといけない。一足飛びにはいかない」と説明。「今までは生殖腺がフォーカスされててきたが、今後は個人の生き方や内面にフォーカスしていくことで世論も変わるだろう。世界的な動きの中で、日本も法改正に向かっていくかもしれない」と話した。


 世界で多様な性の価値観が認められていく中、日本の法律のあり方が問われている。

(C)AbemaTV

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