「会社で婚活支援」 波紋を呼ぶ一億総活躍プラン

未婚の若者が増え、少子化も進む日本社会。その打開策の一つとして、「企業が支援する婚活」が話題になっている。


これは今年10月、内閣府による「一億総活躍プラン」の一環として開催された検討会の中で出てきたもの。加藤勝信・一億総活躍担当大臣によると、この検討会は「結婚を希望する人が、その希望を叶えられる環境の整備に向けた取り組みについて議論をするというもの」で、今月7日には、提言の骨子案が示された。


この中で、企業の取組例として

  • 企業内や異業種との交流の機会の提供
  • 子育てと仕事の両立支援
  • ワーク・ライフ・バランスの確保
  • 既婚者が独身者の相談にのる「婚活メンター」

などの若者の結婚支援策が挙げられている。


これに対し、有識者からは「独身者や性的マイノリティに対するセクハラになる恐れがある」と懸念の声が挙がっている他、女性支援団体からも約9300通の抗議文が届き、波紋が広がった。

結果、今月20日に示された提言案からは「婚活メンター」の文言が削除され、取り組みにあたっての留意点として「結婚の希望や悩みに寄り添うことが肝要であって、間違っても個人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならない」との記述が追加されることになった。


今回の提言案について、「『支援』が『推奨』になるのは問題だ。」と話すのは、慶應義塾大学の若新雄純・特任講師。結婚したい若者への支援策であるはずが、みんなが結婚できるにはどうするべきか、という話に変わりつつあると指摘した。


一方、この検討会のメンバーであり、若者向けのライフキャリア支援の場を提供しているmanma代表の新居日南恵氏は「企業がこの結婚支援に必ず取り組まなければいけないという文言も無くなったし、望むのならば企業・団体も任意で協力できるというシステムだ。」と分析する。若者も強制的に交流会に参加させられるというわけではなく、自らが希望した場合にだけ参加できるということだ。


また、新居氏は「今回の施策は、結婚したいけど環境が整っていないという要望に答えたものではなく、子育て支援からの拡大」とも指摘した。現在の生涯未婚率(満50歳の時点で一度も結婚をしていない「未婚」の人を示す割合)は男性が20.1%、女性が10.6%。これが、2030年には男性が27.6%、女性が18.8%と上昇する見込みだ。国が「結婚支援」に乗り出す背景には、まずはパートナーを見つけなければ「少子化の解消」「子育て」という話には繋がらないという問題意識があるからだろう。

こうした議論に対し、自身がゲイであることを明かしている明治大学4年生の松岡宗嗣さは、削除された部分に『婚活メンター』という、上司が独身の後輩のサポートをするという内容があったことなどについて「男女間の結婚を推奨するような形になってしまっている」と違和感を覚えたと話す。松岡さんは、カミングアウトしていないLGBTの人々が「結婚しないの?」などと言われた際に精神的苦痛を受けることや、会社にいづらくなってしまう可能性を懸念している。


また、「結婚を推奨するのではなく、結婚を希望しているがそのような機会がない方をサポートする」という文言への変更については「配慮されていると感じた」と評価した上で、「結婚というあくまで多様な生き方の中の一つの選択肢であるものを推奨するよりも、様々な生き方をサポートし尊重する方針でいてほしい」と訴えた。


賛否両論を呼んでいる今回の提言だが、「結婚をしないで生きて行くという選択をした人も有意義で文化的な人生を送れるような支援も考えていかないといけない。いくつかプランを用意しておいた方がいいのではないか」という、若新特任講師の指摘も忘れてはいけないだろう。

(C)AbemaTV


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