匿名電話、強い言葉で罵られ…「除夜の鐘」に近隣住民からクレーム

 大晦日に寺で行われる行事といえば「除夜の鐘」を打つことだ。除夜の鐘とは大晦日の夜から元旦にかけ寺院で鐘をうち、鐘の音と共に108の煩悩を祓い新年を迎える行事のことだ。


 だが、この除夜の鐘に「異変」が起きている。それが静岡県牧之原市にある450年以上の歴史を持つ浄土真宗大谷派の大澤寺だ。この寺では「除夜の鐘」ではなく「除夕(じょせき)の鐘」をついている。開始時間はお昼の12時だ。その理由について大澤寺の今井一光住職は「2年連続で匿名で電話があって、非常に強い言葉でもってののしられた」と明かす。理由は近隣住民からのクレームだった。


 中止になったのはおよそ10年前のこと。その後に住職を引き継いだ今井さんはせっかくの鐘を活かす方法はないかと考え、一昨年から始めたのが昼間に鐘をつくイベントだ。


 ではこの鐘はどれほどの音量なのか。100メートル離れたところから測定すると「62デシベル」だった。一般的に60デシベルを超えると「うるさい」と感じる大きさの音だという。身近なものでは静かな乗用車の音、トイレの洗浄音、1メートルの距離にある洗濯機や掃除機と同じくらいの同じレベルだという。


 測定場所より鐘に近い範囲に住む近隣住民は「この近所の人でうるさいなんていう人は、いないと思うよ。そりゃ新しく来た人たちはわかんないけど」と語る。


 騒音のクレーム電話について住職はどのように思っているのか。「非常に感謝している。時間を変えろという風にお達しを受けたような気がして。お昼から始めたことで非常に好評で、皆さんに喜んでもらって、いいご縁を頂いたと思っている」と笑顔で話す。


 しかしクレームがきっかけで除夜の鐘を辞めてしまったことがメディアで報じられると「伝統がなくなってしまうのが悲しい」「なんて時代だ」という声が続出。寺にもお叱りの電話や手紙が来たという。


 こうした双方の声を聞いて「文化の継承のための選択なのかな」と今の「除夕の鐘」に至った経緯を明かした。


 また、時間を繰り上げたことで「夜より暖かい。照明が不要で足元の危険性が減ったこと、子どもたちの参加が増えた」などのメリットもあった。


 実は騒音問題は住む上で大きなトラブルに発展することは多い。「SUUMOなんでもランキング」の調べによると、「近隣住民への不満」の1位は45.9%で「騒音」だった。


 こうした事案は大澤寺だけが特別ではない。日本の風物詩である他の行事にも影響している。例えばラジオ体操や運動会当日の花火、盆踊りにもクレームが来て、一部では中止に追い込まれていることもある。愛知県東海市では2009年から音楽流さない「無音盆踊り」を開催している。無音の中で盆踊りを踊っている光景はどことなくシュールだが、不思議と全員の踊りは揃っている。実は参加者は耳にイヤフォンをしており、ラジオから流れてくる音楽に合わせて踊っているのだ。なお盆踊りに不可欠な太鼓ももちろん「エア太鼓」、叩いていない。


 地域のコミュニティで大きな問題になりつつある騒音問題。どう付き合っていくのかが問われている。


(C)AbemaTV


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