支援者からの猫の餌代も”収入”なのか? 生活保護の受給資格をめぐる議論

 生活保護打ち切りを理由に市長を脅迫したとして、埼玉県深谷市に住む無職の男性が逮捕された(その後、不起訴処分に)。男性は10月23日、自身のFacebookに「深谷市長にははっきりと殺意を感じている。殺される前に殺した方がいい」などと投稿していた。

 この男性の生活保護打ち切りの理由をめぐって、波紋が広がっている。


 打ち切りの理由は、男性宅にいるおよそ80匹もの猫。ある時を境に野良猫を集めはじめ、自宅には次第に多くの猫が住み着いていったという。男性は生活保護費のほか、1日に1万円ほどかかる餌代など支援者からの援助を受けることで猫との生活を成り立たせていた。そして収入のほぼ全てを猫に費やしていたため、現在は家賃も未払い。電気・ガスも止められ、携帯電話の充電は近所の家の電源を借りていた。


 もともと生活保護受給者には「収入申告義務」があり、原則として毎月提出することが義務付けられている。今回の男性の場合、深谷市が猫への援助を「収入」として認定したため、生活保護給付の打ち切りに至った。

 深谷市の担当者は「いつまでも申告が出てこないので、”義務違反”ということで(生活保護の)廃止に至ったということです。(再び生活保護を受ける)可能性はあると思います」と話す。


 この判断に対し、弁護士法人ルネサンス代表で債務整理などが専門の長宏一弁護士は、市長への殺害予告など男性に行き過ぎの面もあるとした上で、「猫に対する周りからの支援金が収入に当たるということについて本人は認識していたのか。行政側はきっちり説明をしていたのか」と疑問を呈する。どこまでが収入と判断されるのか、その線引きが曖昧なのが現状のようだ。

 そんな中、日本維新の会が12日、生活保護受給者に大きな影響を及ぼす法改正案を参議院に提出した。内容は生活保護受給者のパチンコ・競馬・競輪・totoなどのギャンブル投資を禁じるもの。ただし、禁止に向けた具体的な制度、生活保護費の新しい受給方法については検討中だという。

 「収入」の線引き同様、受給した生活保護費でどこまで贅沢をして良いのか、その線引きも難しい。例えば生活保護者は自動車を所有すべきでないという意見もある一方、地方では自動車がなければ最低限の生活ができないといった意見もあり、議論は尽きない。


 厚生労働省によると、2016年2月時点での生活保護受給者数は216万1307人で、推移はほぼ横ばい状態だ。


 生活保護には、生活に困窮した人を救う制度である面だけでなく、いつ働けなくなっても最低限の生活を保障してくれるという、”セーフティネット”としての側面も持つ。長宏一弁護士も「誰しもが生活保護費を受給する可能性がある」と話す。


 生活保護を取り巻く環境が変化する中、その基準や実態について、もう一度見つめ直す必要がありそうだ。

(C)AbemaTV

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