「もしも現代に蘇ったとしたら…?」 漱石アンドロイドが見せた可能性と課題

 きょう没後100年を迎える文豪・夏目漱石がアンドロイドとして蘇った。


8日午後、東京都千代田区の二松学舎大学でお披露目された「漱石アンドロイド」は、朗読や講演の再現などのプログラムを搭載、日本初の学校で授業を行うことのできるアンドロイドだ。


 残された漱石のデスマスクを3Dスキャン、多くの人にとって馴染み深い、旧1000円札に描かれた45歳頃の容姿をモデルにして二松学舎大学と大阪大が共同開発した。皮膚のしわも精巧に作られ、表情や関節部分など44カ所が可動する。今後は話し方の特徴や動きの研究結果を取り入れていく予定だ。

製作に当たった石黒浩・大阪大学大学院教授は発表会で「お札の顔は一定の角度からしか見えていないので、そこで多分違和感が出てくる。本当にそれでいいのか、みんなで何回も議論した」と明かす。


 さらに今後の展望について「夏目漱石のイメージがアンドロイドによってさらに広がって変わって、特に子ども達にどういう影響を与えていくのかが見られると研究として面白くなる」とも話した。


 「漱石アンドロイド」は発表会で「座ったままで失礼します。ご無沙汰ですね。ほぼ100年ぶりというところでしょうか」と報道陣に語りかけ、ファンにはたまらない短編小説『夢十夜』の第一夜の朗読も行われた。

 気になるのはその声の再現だが、実は漱石の孫にあたる夏目房之介・学習院大学大学院教授の声の音の成分を抽出・解析し製作されたもの。


 漱石アンドロイドは、来年4月からは日本初の”アンドロイド講師”として教壇に立つ。


 「どんな講義をしたいですか?」という記者からの問いかけに対し、「まだ考えているところですが、学生の生きた声を死んだ講義で封じこめないように、つまり生きた講義がしたいと思っているところです。具体的には朗読講義をしてみたいと考えています」と答えた。

 山口直孝・二松学舎大学大学院教授によると、漱石アンドロイドが中学生たちの前で朗読を行った際には、生徒たちから「ただ単に(漱石)先生の話を聞くだけじゃなく、話を聞いてもらいたい、人生相談に乗ってもらいたい、というような声も寄せられた」と振り返る。「そういう関わり方もあるんだなと逆に教えられ、可能性をもっと追求したいと思った」と今後のバージョンアップにも意欲を見せた。


■「肌がきれい過ぎる(笑)」

 夏目漱石研究の第一人者にして大ファンだという小森陽一・東京大学大学院教授は、漱石アンドロイドについて「いきなりチェックするようですが、肌がきれい過ぎる(笑)」と指摘。小森教授によると、漱石は天然痘による”あばた”を気にしていており、残っている漱石の写真は修整されているとのことだ。

小森教授は「もしも漱石が現代に蘇ったら、俺が死んだ後の100年、憲法が公布されてからの70年をどう過ごしてきたかを日本人に問うと思う」とコメント。

 漱石は手当たり次第に物を投げるなど、癇癪持ちの一面、印税制度を整えるために尽力するという一面も持っていたという。

 AIと人間の関係について研究している栗原聡・電気通信大学大学院教授は、完成度について「だいぶ人間らしい。実際、授業もできるでしょうし、ますます技術は進んでいくのではないかと思います」と語った。

 アンドロイドに思考パターンを搭載させるとどうなるのかという質問に対し栗原教授は「100パーセントとは言えないかもしれないが、一般の人が見た時に『夏目漱石が言っているんだな』という感覚を持つレベルまではいくと思う。しかし、漱石は亡くなっているわけで、同じような考えを持つかもしれないが、あくまでも本人ではない」と回答。

 「過去のデータがあれば、歴史上の人物と同じような言い回しをさせることはできると思う。しかし、スティーブ・ジョブズのように新しい製品を作り出すことは簡単ではないと思う」とした。


■人口知能の課題は

 今年は世界中で人工知能に関する話題が報じられた。

 アメリカでは人工知能を搭載したロボット”Sophia”がインタビューで「人類を滅亡させたいですか?ノーと言って欲しいんだけど」と聞かれた際に「OK。滅亡させるわ」と答えたことが議論を呼んだ。

 “Sophia”の実物を触ったことがある栗原教授は「本当に考えて答えたわけではないので心配することはない」「文法の組合せを言っているだけで、滅亡させるとはどういうことかを考えて言っているわけではない。」としながらも、「見た目がリアルなロボットなので、見た目に不気味さを感じてしまう面はある」と解説した。

 検索や翻訳などの特化した機能については発達している人工知能だが、人間らしさのようなものを獲得し、共存できる段階に至るまでには研究途上だ。今後の課題として、人工知能の自我の問題、倫理・教育の問題など様々な角度からの検討が必要だろう。


(C)AbemaTV

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