"医療デマ"と厳しい批判 炎上したWELQとDeNA、3つの問題点

 大手IT企業・DeNAは29日、インターネット上での厳しい批判を受け、運営する『WELQ(ウェルク)』の全記事を非公開とした。DeNAが2015年に開設した『WELQ』は、“ココロとカラダの教科書”をキャッチコピーに、医療情報を中心とした記事を配信していた。


 調査会社のNielsenによると、『WELQ』は急速に利用者を伸ばし、月間の利用者は今年6月時点で631万人に達していたという。人々が知りたい情報をすぐにインターネットで検索する昨今、医療情報サイトのニーズは大きかったようだ。


 しかし『WELQ』をめぐっては、“ガンをはじめ、様々な病気を予防する水”として水素水を紹介する記事や、“死、以外のあらゆる病を治す薬”としてブラックシードを紹介する記事、さらには“肩こりは幽霊が原因の可能性もある”という内容のものもあったことから、記事内容の信憑性や、他サイトからの無断引用について、医療関係者からも疑問の声や批判が以前から寄せられていた。


 自身の記事を無断で引用されたという医師の桑満おさむ氏はTwitter上で「自分のサイトから152箇所も『WELQ』に引用されている。これってマナー違反ですよね?」と批判していた。


 また、『BuzzFeed Japan』による取材記事などで、実は『WELQ』に掲載されていた記事は匿名のライターがブログなどネット上の情報を中心にまとめて作成しており、その大部分は専門家のチェックも経ていなかったことも明らかにされた。


 こうした外部からの指摘・批判や報道を受け、DeNAは11月25日、すべての記事で専門家による監修を始めることを発表。しかしその後も批判は収まらず、11月29日にすべての記事が非公開となった。DeNAは「今後は専門家が監修したものだけを掲載する体制を整えているところだが、まだ目処はついていない。」とコメントしている。

 一連の問題に対して、編集者・ライターで、医学部の出身でもある朽木誠一郎氏は「WELQは幅広く医療情報や健康情報を扱っていて、報道の中で紹介されている記事はとりわけ信憑性がないものという印象を受けた」としながらも、「専門家ではない人が、コピー&ペーストという作業で良い記事が生まれるかどうか、というと難しいものがある。インターネット上に存在する医療情報の信頼性が揺らぐ事件となった。また、キュレーションというメディアの問題点が浮き彫りになった事件でもある」とコメント。


 『WELQ』に関わった複数のライターや現役のDeNA社員に取材を行ったBuzzFeed Japanの伊藤大地氏によると、大学生などをライターとして2000文字の記事1本あたり1000円程度の単価で雇い、記事を大量生産させていたのだという。


 伊藤氏は、今回の騒動について、DeNAの3つの問題点を指摘する。

  • 実際にはマニュアル等をきちんと作成しているにもかかわらず、「記事は外注なので、私たちは記事に責任をとりません。」といった態度をとっている。
  • そのマニュアルのなかにはコピー&ペーストのやり方(語尾は変えろ等)が記載しており、今回問題となった要因が含まれていること。
  • “医療”というジャンルは簡単にキュレーションとして取り扱うジャンルではない、という視点が欠けていたこと。


 『WELQ』の記事を独自に検証し、その信憑性や妥当性を指摘してきた東京大学大学院薬学系研究科の五十嵐中・特任教授は検証結果から、「色々な記事から引用をして記事を作成している仕組みなので、引用元の情報が少しずつ間違っていると、全体を通してまったく信憑性のないものになってしまう」と指摘する。


 さらに五十嵐氏は「記事を書いた人を責めるつもりは全くない。依頼する側がおかしい。レントゲンを撮る、と医者が言ったら患者は疑うことなくレントゲンを撮るように、信憑性のない記事を鵜呑みにしてしまう危険性が医療というテーマにはある。」とDeNAの姿勢を批判した。


 こうした記事の「信憑性」に関して、健康・美容サイトの確認体制はどうなっているのだろうか。


 全てオリジナル記事で構成されている『美BEAUTE』の場合、医療系の記事は医師などがチェックを行っており、専門家のレビューがまとめられている『キノウノミカタ』も管理栄養士や医師など複数でチェックしているという。一方、まとめサイトの『Beautyまとめ』は専門家のチェックはないといい、確認体制は各サイトによって異なっているようだ。


 インターネット上にあふれる情報の中で、読者は何に気をつけるべきなのか。


 朽木氏は「厳しい言い方になるが、基本的に情報を信じることは自己責任になる。もちろんメディア側も気をつけるべきだが、どうやって正しい情報が得られるのか、ということを考えなければならない」と、ネット上の情報に接する読者の側にも警鐘を鳴らした。


(C)AbemaTV

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