「オルタナ右翼」がトランプ勝利の原動力?アメリカ右翼の実態を探る

 アメリカ大統領選挙でクローズアップされた、「オルタナ右翼(=Alternative Right)」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。


 11月19日、ホワイトハウス近くで行われたトランプ支持者たちの会合で見られた思いがけない光景が話題を呼んだ。人々が突如右手を挙げ、ナチス式の敬礼でトランプ氏を讃えたのだ。今、彼ら“オルタナ右翼”が、ドナルド・トランプ氏の勝利の原動力であったとも言われている。


 トランプ政権の首席戦略官とされているスティーブン・バノン氏も極右のウェブメディアを運営している“オルタナ右翼”のリーダーの一人だ。

 オルタナ右翼について駿河台大学の八田真行講師は、「共和党に代表される、伝統的にアメリカの保守とされていた勢力をもともとの右翼とすると、そうした共和党の主流派とは少し考え方が違う人たち、というのがオルタナ右翼の一番広い定義だと思う」と解説する。


 八田氏によると、オルタナ右翼は選挙期間中、主にインターネット、とくにアメリカ版の「2ちゃんねる」とも呼ばれる掲示板サイト「4CH」で活動していたという。彼らの中核を構成するのは、“ラストベルト”と呼ばれるエリアに住んでいる、白人の比較的高齢かつ学歴が高くない男性とされる。


 アメリカでは上位5%層の平均年収が約2428万円なのに対し、下位20%層の平均年収は約257万円と、およそ9倍もの差が生じている超格差社会だ。(出典:Brookings、データは2013年のもの)。


 大統領選挙でも開票結果が注目された“錆びついた工業社会”を意味するエリア“ラストベルト”には、製造業に就く低所得者の白人が多く暮らしている。彼らは労働組合に属し、民主党支持者が多かったという。


 だが今回、ムーブメントに引っ張られるように、民主党支持者や選挙に行かなかった人もトランプ支持に回り、その一部はオルタナ右翼となってしまったようだ。


「(トランプ氏は)1年半(暴言を)言い続けた。そこに惹かれる白人男性がいっぱいいたのだと思います」(八田氏)。


 現在、白人エリート層の間にもオルタナ右翼の思想が広がって来ているといい、そうしたエリート層が低所得者層をコントロールする構図もでき始めているという。


■オルタナ右翼の根底にある白人男性たちの意識

 ではなぜ、アメリカの白人男性たちがオルタナ右翼の思想に惹かれはじめたのだろうか。


 「移民が多くなり、今まで社会の中枢を占めていた白人の層、特に男性がマイノリティや女性への口のきき方、行動などに気をつけなければならないという風潮に対し、行き過ぎていると感じている人が増えている。それはオルタナ右翼以外も同様だ」と八田氏は指摘する。そこに現れたのが「言いたいことを言える人」、トランプ氏だったのだ。

  アメリカに20年近く住んでいたという国際ジャーナリストの大野和基氏は「根本的に白人は、”白人という人種が一番だ”と思っている。それが極端に思想という形で出てきたのがアメリカの右翼、と解釈すると一番分かりやすいのでは」と説明する。


 従来のアメリカ右翼の中でもとくに過激な存在として知られる秘密結社KKK。時代とともに勢いを失ったともみられているKKKだが、「今は最大の武器であるソーシャルメディアがある。想像がつかないほどメンバーはいるだろう」と大野氏は語る。


 アメリカでは「インフィニティチャンネル」という、何でも言えるような匿名サイトもあることから、ネット上の言動は過激化しつつある。そうしたネット社会に適合した”オルタナ右翼”こそが、これからの主流になっていく新しい形の右翼だという。


 当のトランプ氏は移民について過激発言をしてきた一方、インド系移民2世のニッキー・ヘイリー氏を側近にする意向を示すなど、こうした意味での”右翼”のイメージを払拭する狙いも見られる。しかし、人々の間では”差別発言をしても許される社会になるのでは”との不安は拭いきれないようだ。


 日本への影響も含め、オルタナ右翼の今後の動きをもはや無視することはできない。

(C)AbemaTV



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