ニューヨーク流「応援消費」という理想形 広島カープ&浦和レッズはその一種

 2017年2月24日以降、国を挙げて消費を盛り上げようと「プレミアムフライデー」の実施が予定されている。金曜日(フライデー)に消費と言えば、イオンがアメリカの「ブラックフライデー」を銘打った3日間に及ぶセールを11月末に実施したことが記憶に新しい。イオンに加え、トイザらス、BUYMAなどもセールを開催しており、ブラックフライデーを日本企業が取り入れる動きが目立つ。


 そもそもブラックフライデーとは、アメリカの感謝祭(11月第4木曜日)の翌日から翌週の月曜日に行われる一大セールのこと。現地ではクリスマス商戦の始まりとして定着しており、1年で最も物が売れる日とも言われている。日本では給料日にあたるこの日に消費を盛り上げる試みで、大規模なセールが開催されたようだ。


 その一方、プレミアムフライデーは、毎月最後の金曜日は15時に退社し、豊かな時間を過ごすことが全国的に推奨される見込みだ。セールで盛り上がる「モノ消費」のブラックフライデーと比べ、プレミアムフライデーは早めに仕事を切り上げ、夕方から買い物や飲食、旅行などを楽しんでもらう「コト消費」の喚起を重視しているようで、その点に両者の違いがありそうだ。


 ■「奥渋谷」で「上質な消費」について考える

 そして、月末の金曜日だった11月25日、プレミアムフライデーに先駆け、「上質な消費」について考えるイベント「“MATSUKIN” THINK ABOUT SPENDING MONEY」が奥渋谷で開催された。「奥渋谷」とは、大人のトレンド発信エリアとして注目されているエリアで、渋谷東急本店から井の頭通り(代々木八幡・代々木公園駅近く)にかけた、神山町/宇田川町/富ヶ谷界隈を指す。オシャレな飲食店やギャラリー・映画館などが集まったエリアである。

 同イベントでは、奥渋谷を代表する6つのショップが参加し、作家・はあちゅう氏などが登壇したトークイベントも行われた。トークイベントでは、日本のカルチャーや作り手支援につながる新たな消費のあり方をテーマに、幅広いディスカッションが繰り広げられた。“作り手を応援する”という「コト消費」をテーマにしたイベントだ。

 このイベントの仕掛人である合同会社SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)の福井盛太さんに話を聞いた。

 ――イベント開催までの経緯は?

 「ニューヨークで成り立っている、“応援消費”のようなお金の使い方を提案していきたいと思ったのがきっかけです。

 今年の9月に社員旅行でニューヨークに行って現地の書店を回ったんですが、すごく驚いたことに、書店の数は減っているにもかかわらず、残っている1軒1軒がとても賑わっていました。今、日本の出版業界や書店は不況で苦しい、大変だと言われていますが、ニューヨークでは生き残った書店が大変賑わい、本がたくさん売れているんです。その光景を見て、衝撃を受けました。

 そこで気づいたのが、ニューヨークの本好きたちは『俺たちは本と書店を応援するから買うんだ!』という意識で本を買っているということ。考えてみれば、ニューヨークっていろんな寄付で成り立っている街ですよね。セントラルパークのベンチにしても、個人個人の寄付で置かれ、ネームタグもついてる。それがニューヨーク市の中に根付いている“街の中での消費”のあり方なんだと思いました」

 ――そういった消費のあり方を、日本でも広めたいということですか?

 「日本では、流行のモノにわーっと人が群って、買って、使って、流行らなくなったらポイっと捨てるというようなお金の使い方が割と多いように見えます。それが全て悪いとは言わないけど、僕らのような個人店をやっている側からすると、ニューヨーク的なお金の使い方と言うか、“応援消費”がきちんと成り立っているのはいいなと思うんです。

 それをなんとかメッセージとして伝えることはできないかと思って。それで実施したのが今回のイベントです。『“上質な消費”について考える日は月末金曜日の“マツキン(末金)”』というキーワードにのせてメッセージを発信することで、“お金の使い方”を見つめ直すきっかけになれればいいなと考えています」


 ■浦和レッズ、広島カープファンのような消費は良い循環

 ――日本には、ニューヨーク的な”応援消費”のような文化は全くないのでしょうか?

 「例えば、トークショーでも話に出ましたが、スポーツの世界ではそういった応援消費が成立しています。浦和レッズのサポータにしても、広島カープのファンにしても、チームを応援するために観戦チケットや応援グッズにお金を払っている一面があると思うのです。チームが強いときだけでなく弱いときにもせっせとチケットを買っている。そのお金が球団(クラブ)運営を助け、巡り巡ってチームを強くし、勝利という最高の結果を生む。それによってファンも喜び、またファンが増えてお金を使うという循環がそこにはある。その循環こそがスポーツビジネスを成り立たせているのだと思うんです。

 そういった消費の循環が、一般の消費の中でも根付いていったときに本当の意味での“豊かな経済”につながるのではと思います。また、それはプレミアムフライデーともリンクする部分がありますよね。普段は高価で行かないお店でも、コストと手間暇をかけていいものを作っているのなら、月に一度くらいは応援するために食べに行こうよ! みたいな。そういった過ごし方が、一番スマートなマツキン(末金)の過ごし方なのではないかと思います」

 ハナキン(花金・華金)は、1980年代以降に定着した週休2日制(土日休み)によって、「明日は休みだし、金曜の夜はパーっと行こう!」という発想から生まれた言葉。月末金曜の午後早めに会社を出て、新しくて上質な消費を考える「マツキン(末金)」という言葉は果たして定着するか。


 取材・文/AbemaTIMES編集部

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