ひきこもり脱却に共同生活での農業を 問題に取り組む「耕せにっぽん」とは?

 内閣府の2015年調査で、ひきこもりの人数は全国約54万人で、期間が7年以上が最多の34.7%となった。この問題を解決しようと取り組むのが、「耕せにっぽん」だ。代表の東野昭彦さんが中心となり、北海道勇払郡安平町でニートや鬱病など、引きこもっていた人々が大地を耕す「耕し隊」を結成。隊員は農業研修とともに、7カ月の共同生活で集団行動のルールを学び、社会復帰を目指すという。


 東野さんは、かつて吉本興業のピン芸人をやっていて、その後テレビショッピングの司会者などをした。この取り組みを始めたのは12年前。農家からは「農業なめるな」と言われることもあったが、これまでに200人以上の自立を後押し。時には優しく、時には厳しく接してきた。東野さんは「自尊心は皆必ずどこかに残っています。自分は幸せになりたいと思ってます。投げやりに見えるかもしれませんが、自分のことどっか好きなんですよ」と語る。


 26日に放送された『みのもんたのよるバズ!』(AbemaTV)では、東野さんがスタジオ出演するとともに、卒業式を直前に控えた「耕し隊」の12期生がSkypeで登場した。東野さんはこの取り組みを始めたきっかけをこう語る。


 「笑いが引きこもりには大事かと思った。都会で病んでいる人が多いです。田舎では農業の担い手が少ない。普通に働いている人に農業やってと言っても仕方ないですね。僕がこの取り組みを始めた当初は35歳でした。人が喜ぶことをしたいと思ったのです。結婚して子供生まれて、子供に何かを残したいと思いました。若い子たちが、もっと自由に自分の人生を楽しめるようにならないかなと考えました。田舎でできることでとっかかりやすいのが農業かなと思い、農業にしたのです。隊員は募集しました。僕が話しかけて、『学校行きたくない』と言ったら『ウチに来い』と言ったのです。あとは、共同経営の仲間が講演をしているので、その場でスカウトしてくる感じですね」


 収穫した作物はビールや焼酎などに加工する。ビールの銘柄は「ヒキコモルツ」で、作っている米の銘柄は「もう二度とひきこもる米(まい)」だ。


 共同生活ではよりコミュニケーションが取りやすいよう、ニックネームで呼び合っている。ニコニコ動画が大好きな「ニコニコ」さんは19歳。国立大学の医学部に行ったのだが、医学部に入ることが目標だった人生だったので、それ以上を求めていなかったのだという。同級生が考えていることを聞くと自分は将来がないと思い、目標を失い引きこもりになった。共同生活を通じ、これからは大学への復学を目指している。そして最年長、40歳の「フレンドリー」さんは元僧侶。33歳の時に、自分が話している説法が面白くないと言われそれが積もり積もって引きこもりのようになってしまったという。


 耕し隊ではお互いの隊員が「せめて3つぐらいはいいところを言ってください」と他者の良い点を言い合うなどし、自らの価値を見つけていく。Skype中継では23歳の「ハンサム」さんが登場。ニックネームの由来は「ナルシスト」と呼ばれるのが嫌いなため、だったらハンサムというナルシストの極みのような名前をつけてしまおうということのようだ。


 番組MCのみのもんた氏から「だいぶ変わった?」と聞かれ、「すごい変わりました。今までは自分が嫌いで認められなかったですが、ここにきてからダメなところも自分らしさとして認められるようになりました。卒業したら、耕せにっぽんと同様に、障害者がレストランで働けるように、という支援をする施設でお世話になります(働きます)」と答えた。


 また、ハンサムさんが引きこもりになった理由は、自分を追い込み過ぎたことにあるという。父母と祖母が教師の家庭に育ち、彼らの顔を潰してはいけないなと思ったというのだ。元々睡眠障害があったというが、現在、農作業は肉体的には疲れるものの、疲れるからこそ、よく寝られるようになった。


 東野氏は、引きこもりから脱却するには開き直らせるのがいいと語る。そして、引きこもっていたことを隠さずに言うことが重要だと語り、「耕し隊」4つの鉄板ルールを紹介した。


 それは、「返事は0.2秒(あなたにNOはない)」「頼まれ事は試され事(相手の予測を上回れ)」「できない理由を言わない(デモデモ星人になるな)」「今できることをやる(とにかく探して動き出せ)」である。そして「人を喜ばせることこそ、社会性なんです。社会性とは正しい名刺の渡し方を知っている、とかではないんです」と締めた。



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