「検挙は氷山の一角」 痴漢の常習性を断つためには…

 女性の敵、痴漢。


 検挙された人数は毎年4000件前後で推移しているが、これは氷山の一角で、女性たちの”泣き寝入り”によって逃れている犯人もおり、実際の件数は10倍にものぼるとも言われている。

 痴漢の加害者を社会で更正するためのプログラムを10年前から行っており、これまでに約800人の加害者を見てきた「榎本クリニック」精神保健福祉士の齊藤章佳さんは、逮捕されても再犯するケースが非常に多いという性犯罪者向けの活動も実施してきた。


 齊藤さんは、今まで見てきた加害者には、犯行理由にストレスを挙げる人が多かったと振り返る。「我々もストレスの対処行動として、カラオケに行ったりジムに行ったりする。痴漢を常習的にやる人は、ストレスの対処行動の選択肢が痴漢であるということになる」と話した。


 齊藤さんは、「依存症には、アルコール、ギャンブル、薬物があるが、痴漢常習犯も、それと同じような性質を持っている」という。


 加害者の更正プログラムでは、初診の際に必ず「逮捕されていなければ痴漢を続けたのか」と尋ねるという。すると、ほぼ100%の人が「続けていました」と答えるという。相手が拒否しないために、そこからエスレートする加害者もいる。拒否しないということを、被害者が喜んでいるととらえてしまうのだ。


 また、痴漢をやめられない要因の一つに、インターネットの影響があるという。「ネット上で痴漢の行為を称え合うなど、成功したことが評価の対象になっている」、いわゆる「性の報酬」をネット上で得られるのも、問題行動を助長する要因となっているのだ。


 榎本クリニックでは性犯罪再犯防止プログラムとして、衝動的な欲求を抑えるため抗うつ薬を打つ薬物療法のほかに「リスクマネジメント」を行っている。この「リスクマネジメント」とは、痴漢をする「引き金」となる要素を書き出し、止めるための方法を目で分かるようにしたものだ。


 海外では、薬物療法をしなければいけない加害者が服用していないことが分かると、再収監する国もあるというが、日本では眠気などの副作用を嫌い、薬を飲まない人もいるのが現状だ。


 依存症の治療の中で回復はあっても、完治は困難だという。齊藤さんは「本気で再犯防止を考えるなら、薬物療法と治療をつなげるシステムが国内にも必要だ」と訴えた。

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