“人類最強の男”ヒョードル、40歳でベラトールMMAに挑戦 勝算はあるのか?

 元PRIDE王者のエメリヤーエンコ・ヒョードルが、来年2月より「ベラトール」のリングに参戦することが「ベラトール165」のリング上で発表された。対戦相手は兼ねてから噂のあった元UFCファイターのマット・ミトリオン。40歳になったヒョードルと、38歳だが常にMMAの最前線で戦って来たミトリオンに対して勝算はあるだろうか?


 昨年日本の「RIZIN」参戦し3年半ぶりの総合格闘技の世界に現役復活したヒョードル。かつて「ロシアン・ラストエンペラー」の名を欲しいままにしたヒョードルだが米国再挑戦は、ほぼ全てを手中に収めた男の最後のやり残した夢への挑戦でもある。


 2010年の「ストライクフォース」での米国進出は、それまでの栄光を台無しにする散々たる内容だった。ファブリシオ・ヴェウドゥム戦での10年近く続いた連勝ストップを皮切りに、アントニオ・シウバとダン・ヘンダーソンにTKO負けと3連敗。米国の地で「時代の終焉」を印象づけるものとなってしまった。


 その後ロシアと日本のリングに上がるものの2012年現役引退。昨年の大晦日「RIZIN」のリングでの現役復帰戦でシング心ジャディブでTKO勝利の後、ロシアのEFNのリングでブラジル人のストライカー、ファビオ・マルドナドのパンチにKO寸前まで追い込まれフラフラに逃げ回るも、地元贔屓の謎判定で勝利を収める後味の悪い結果を残している。


 その一方で、打撃面では時折鋭いロシアンフックを放つなどかつてを彷彿とさせる動きや、何よりもかなりの打撃を受け続けながら5分3Rを戦い切るスタミナを見せた点に関しては少なくとも現役継続可能な耐久性という最低ラインはクリアした、そんな試合だった。


 一方の対戦相手のミトリオンは、元NFLプレイヤーで、2009年にUFC登竜門「The Ultimate Fighter」への出演を機にブレイク。キンボ・スライスやガブリエル・ゴンザーガにTKOでスカッと勝つ反面、ベン・ロズウェルやトラビス・ブラウンといったヘビー級の中級ランカーに連敗し昨年1月にリリース。次の戦いの場として、第二の団体「ベラトール」を選択し今年の6月、7月2ヶ月連続出場で現在ランキング2位。


 松濤館流空手黒帯で、殆どの試合がスタンドの打撃戦。「倒すか倒されるか」という大味な試合運びからは、ヒョードルとの試合もKO決着になる可能性が高い。前述のマルドナルド戦のように大味な打ち合いになる展開は容易に想像できる。


 現在のベラトールのヘビー級戦線は王者が空位で、ランキング1位、シェイク・コンゴ、2位ミトリオン、3位クイントン・ランペイジ・ジャクソンと、元UFC選手のセカンドキャリアの場となっており、その多くが30代後半と年齢的にはピークが過ぎつつある選手と言わざるお得ないだろう。しかしミトリオンを筆頭に「もう一花咲かせたい」とUFCのトップ戦線から離脱する形で「ベラトール」のような第二勢力で頂点をめざすのも一つの選択肢として存在するのだ。


 今回のヒョードル参戦で、一種マスターズリーグ的なエコシステムが「ベラトール」のリングで出来つつあるのは確かである。ヒョードルとしては、まずは上位ランカーであるミトリオン撃破で、米国再挑戦に弾みをつけヘビー急戦線でその存在感を示すことが急務だが、その後もコンゴやランペイジのような日本人にもお馴染みのファイターとの対戦が期待できるだろう。


 UFCのヘビー級のように最先端でしのぎを削るという訳にはいかないが、また違うステージでヒョードルのようなスーパースターが最強よりも現在の最高を目指し、挑戦し続ける姿を見るのもまた格闘技ファンにとっては一興といえるのではないだろうか。

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