虐待通告があっても…認可外保育園への"抜き打ち検査"が徹底されない実態

 2014年7月、宇都宮市内の認可外保育施設に預けられていた、山口愛美利(えみり)ちゃんが死亡した事件。施設側は愛美利ちゃんに下痢や発熱の症状が出て元気がないのを認識していたが、病院で受診する対応を取らなかったことから、両親は「施設側の対応は不適切だった」などとして栃木県警に刑事告訴した。


 元従業員によると、この保育施設では、子供が動かないように布でぐるぐる巻きにするといった虐待が日常的に行われていたという。施設の責任者だった木村久美子被告は公判で、別の赤ちゃんに対する暴行については認めたものの、愛美利ちゃん死亡に対する容疑は否認した。


 ことし6月の第一審判決で宇都宮地裁は「冷酷で悪質な犯行」として求刑通り懲役10年の判決を言い渡した。これに対し木村被告側は「重過ぎる」などとして控訴。11月24日に控訴審判決が出される予定だ。


 事件後、様々な疑問を胸に宇都宮市の保育課へ行ったという愛美利ちゃんの母親。


 当初「虐待などの報告はない」とされたが、情報開示請求の結果、詳細な虐待を報告する書面が市に届いていたことが明らかになった。さらに愛美利ちゃんが亡くなる2か月前、施設に預けていた別の親が「子どもの爪が剥がされている」という報告をしていたこともわかった。それにもかかわらず市が立ち入り検査を行ったのは、施設へ事前に通告してからのことだった。市は「認可保育園を管理するのは行政の義務だが、認可外に対しては義務ではなく権限にとどまる」と、抜き打ち検査をしなかった理由を説明する。


 現在、行政は立ち入り検査をする権限を持っているが、それを行使するかは自治体が決めるため、義務化されてはいないのだという。今回の事件をはじめ保育園問題について数多く取材しているテレビ朝日社会部・裁判担当の清永圭一記者は「認可や認可外に関係なく保育施設に関しては、悪質な虐待の通報があれば抜き打ち検査をする、というくらいまではしっかり法制化をしなければ」と法整備の必要性を訴える。


 愛美利ちゃんの父親は「市は『今後は抜き打ち検査をやっていく』と話しているみたいだが、法制化されていないのだから意味がないと思う。」と語り、今後事件が起きた際の"逃げ道"が残ったままになるのではないかと懸念を示している。



■認可外保育園、選ぶ際のポイントは


 国が定めた基準をクリアし、国や自治体からの補助金によって保育料も安く抑えられている認可保育園は人気が高く、定員はすぐに埋まってしまう一方、待機児童不足が指摘される中、保育料が高くなる傾向のある認可外保育園であっても入園を望む家庭は非常に多い。


 保育園選びにあたって出来ることは何か。東京で認可外保育園4園を経営して15年、保育所アガペーの柳澤和夫園長は、保育施設を選ぶ際のポイントとして


・保育士の言葉遣い

・保育士が子供たちから愛されているか


 などを挙げ、「自分に合った、自分の子供に通わせたい環境の保育所を、自分の目でしっかりと確かめて決めることが大切だ。」と語る。


 また、保育の専門雑誌、Webサイト「MiRAKUU」編集長で、株式会社グランドクロスの堀川伸一代表取締役も「トイレの綺麗さや先生に対する教育の徹底など、バックヤードも見ることができる保育園の方が良い」と見学の際のポイントをアドバイスしている。

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