「小早川拓哉」「のらりクラリオンガール」…“ネット語”今年も独自な言葉が生まれる

 「ユーキャン新語・流行語大賞2016」の候補が出揃ったが、となれば、当然「ネット流行語大賞」の季節でもある。ガジェット通信等が主催するネット流行語大賞だが、昨年は金賞が「五郎丸」、銀賞が「ぱよぱよちーん」、銅賞が「ISIS/イスラム国」となった。今年もすでに25の候補から一般投票段階になっているが、ノミネート語は以下のとおり。


  • センテンススプリング(ベッキー)
  • ベツキー(中居正広)
  • ゲス不倫
  • 文春砲
  • 性の喜びを知りやがって!(性の喜びおじさん・53歳)
  • 俺はお前が俺を見たのを見たぞ!/OOOMM(aiueo700)
  • 岩倉使節団
  • すごく画期的な選考!! ブラボー!!(茂木健一郎)
  • 生前退位(天皇陛下)
  • PPAP/ペンパイナッポーアッポーペン(ピコ太郎)
  • 神ってる
  • ポケモンGO
  • シン・ゴジラ
  • 庵野……オレの負けだ……(島本和彦)
  • こち亀連載終了
  • 乞食行列(ソフトバンク 吉野家牛丼無料)
  • 中世ジャップランド
  • 保育園落ちた日本死ね
  • 脱法ハーフ(蓮舫)
  • 今の国民ははっきり言うとボケてますよ(鳥越俊太郎)
  • ネットトロール(津田大介)
  • スッペチ/スペッチ(SEALDs奥田愛基)
  • その心笑ってるね?(その心笑ってるねおばさん)
  • ホラッチョ/ホラッチョ川上(ショーン・マクアードル川上)
  • 土人/プロ土人(松井一郎大阪府知事)


 私は「センテンススプリング」が金賞になるのでは、と思っているのだが、ここではノミネートされなかったが今年のネットを彩った言葉をいくつか紹介しよう。いずれもネットでいつしか使われるようになった言葉である。


 ベッキーについては「センテンススプリング」だけでなく、「友達で押し通す予定! 笑」も名言だし、「レッツポジティブ!」も味わい深い。他にも「卒論」という言葉もよく使われた。ベッキーと川谷のLINEのやり取りは、何か騒動が起きるたびにテンプレートとして使われるほど、である。「○○で押し通す予定! 笑」や「うん!」などは汎用性が高いようである。


 また、SMAPの解散騒動勃発時、5人で『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)にて生謝罪をした件を受けて『とくダネ!』(同)で山本一郎氏が言い放った「公開処刑」も挙げたい。さらに、SMAP関連でいえば、『めざましテレビ』が『SMAP×SMAP』放送の翌日、視聴者からの感想を求めた。すると最初の行を「縦読み」すると「はやく逃ゲて」となる投稿文が採用され「放送事故」と話題になった。


 SMAPに関しては、突如として「小早川拓哉」という言葉も登場した。これは、関ヶ原の合戦で西軍を裏切り、敗戦の最大要因とされた小早川秀明にかけた言葉で「裏切り者」を意味する。当時、ネット上では「ジャニーズ事務所&木村陣営」VS「元マネージャー&その他4人のメンバー」という構図がしきりと書かれており、木村がいわば裏切り者扱いをされたのだった。


 何か騒動が発生すると大喜利のような展開になるものだが、蓮舫氏の「二重国籍疑惑」と乙武洋匡氏の不倫の際に多くの人がこの祭りに参加していた。蓮舫氏の場合は前出の通り「脱法ハーフ」や過去にクラリオンガールになったことから「のらりクラリオンガール」、さらには「違法人」といった言葉が書き込まれた。乙武氏については、同氏の大ベストセラー『五体不満足』と性的な意味合いをかけたことばが多数書き込まれた。


 流行語というわけではないが、熊本地震の際、芸能人のネット上での言動が炎上を誘発した。笑顔の写真を公開するだけで叩かれた長澤まさみや、現地の様子を紹介したら「愚痴りたいのはお前だけではない」といった形で叩かれた井上晴美もいた。さらには、長崎出身の川谷絵音は、地元の家族が無事だとツイートするだけで「熊本でもないくせに」といった趣旨のバッシングをくらった。


 そんな中、大きな話題となった言葉が藤原紀香がブログに書いた「火の国の神様、どうか もうやめて」である。要するに熊本の人々が天罰をくらったかのように捉えた人もいたのだ。それと同様に、11月22日、福島沖地震の際にカンニング竹山が「神様頼む!もうやめてくれ!小名浜をそして東北を困らせるのはやめてくれ!小名浜の皆さん逃げてくれ!」とツイートしたことも同様の批判はされた。ただし、藤原ほどは叩かれなかった。恐らく二人の普段からのネットでの「好感度」および竹山の文章はポエムっぽくなかったことが理由だろう。


 あとは「アベる」が登場した。これは、2007年のネット流行語大賞「アサヒる」の流れを踏む言葉である。元々第一次安倍政権が安倍晋三首相の体調問題などから短命に終わった際、朝日新聞で、コラムニストの石原壮一郎氏が書いたこの文が語源となっている。


 「『アタシ、もうアベしちゃおうかな』という言葉があちこちで聞こえる。仕事も責任も放り投げてしまいたい心情の吐露だ。そんな大人げない流行語を首相が作ってしまったのがカナシイ」


 当時ネット上では「アベしちゃう」や「アベする」という言葉が果たして本当に流行っているのかの議論が展開された。結果的に「流行っていない」と考える側が優勢となり、過去の「サンゴ落書き事件」で捏造報道をした朝日新聞にかけ、「捏造」を意味する「アサヒる」という言葉が誕生したのだ。


 今回の発言の主は社民党の吉田忠智党首。6月に行なわれた野党4党と市民団体による街頭演説の際の発言だ。吉田氏はこう述べた。


 「最近学校の子どもの間で、『アベる』という言葉が流行っているそうです。どういう意味か。ごまかす、開き直る、はぐらかす。こういう…子どもの皆さんにそういう言葉が流行っているというのは深刻ですよ」(J-CASTニュースによる書きおこし)


 結果的にこの時も「アベる」は「アサヒる」(捏造)扱いをされ、「吉田る」(嘘をつく)といった皮肉も書き込まれる結果となった。今年も独自の言葉が次々と生まれたネット語だが、果たしてどの言葉が取るか。ちなみに上半期の投票では「センテンススプリング」が金賞だった。


■文/中川淳一郎(編集者)

※画像は「AbemaPrime」(AbemaTV)より

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