「医療の届かないところに医療を届ける」カンボジアで助産師として活躍する菊地南さんと国際医療NGO「ジャパンハート」の活動とは

2日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、ちょっと変わった旅をしている人“奇人”をお届けする企画「REINAの知らない世界奇人紀行」が放送され、カンボジアで助産師として活動する菊地南さんが紹介された。

菊地さんは、2004年に小児外科医の吉岡秀人さんが設立した、アジアを中心に医療チームを派遣する国際医療NGO「ジャパンハート」に所属。

「ジャパンハート」は、「医療の届かないところに医療を届ける」という理念のもと、国内僻地やミャンマーやカンボジア、ラオスに医者や看護師など医療者を派遣。去年はのべ600人を超える人材を派遣した。今年5月からカンボジアで助産師として働く菊地さんが、ジャパンハートが立ち向かうアジアの医療、そして、菊地さんが居合わせたカンボジアでの出産現場を話をしてくれた。

■「国境なき医師団」と「ジャパンハート」との違い

「国境なき医師団」の発足はフランス、全世界で活動。一方で、ジャパンハートは、日本で生まれ、国内やアジアを中心に活動する。

その他で最も大きい違いは、「ジャパンハート」は、日本の病院を辞めなくて参加できること。最短3日からの短期ボランティアを受け付けている。

また国境なき医師団は英語を話せなくてはいけないが、「ジャパンハート」は特に語学のレベルを問うわけではない。「私も英語は得意ではないし、カンボジア語も挨拶程度です。英語も日本語も通訳がいます」(菊地さん)


■ポルポト政権での虐殺で、医者がいなくなったカンボジア

東京事務局では年間500人を超える医療ボランティアの派遣や手続きを行っている。

菊地さん「事務局に寄って、東京からサポートしてくれている人たちに顔を見せ、現地の状況を報告させてもらったりします」

——そもそもなぜ、助産師を目指したのでしょうか?

菊地さん「海外医療につながるんですけど、中学3年生の時に授業で、5秒に1人子供たちが亡くなっている世界があるとか、そういう子供たちの写真が教科書に出ているのを見て、なぜか“そこに行かなくちゃ”って思ったのがきっかけです。現在カンボジアでは新しい病院が開院になって、周産期(医療)を扱うことになったので、助産師として活動できる場所ということで、行きたいと志願しました。」

カンボジアは、1970年代から続いたポルポト政権が独裁的な統治を行い、多くの医者や知識人たちは虐殺された。

菊地さん「ポルポト政権があって、お医者さんのレベルがとっても低いので、病院に行っても、お医者さんに対しての信頼度がすごく低い。その代りに“伝統医療”に対する信頼度が高いんです。スース—する軟膏みたいなものなんですけど、それを塗って、その蓋で、体を青アザになるくらいにこするんですよ。うちで働いている病院の医療スタッフもお互いやりあってたりするくらい“伝統医療”が浸透している国で、面白いなあと思いますけど…」

■カンボジアの医療事情

新生児の死亡率を見ると、年間で日本は1000人に1人。それがカンボジアでは50人に1人。これは1960年代の日本とほぼ同じ値だ。

——実際にカンボジアに行ってみて、日本との違いはどんな点ですか?

菊地さん「ベースとして衛生管理、医療に対する知識の違いは大きいです。医療に触れる機会が少ないので、伝統医療に対する信頼は高いのに病院は低い。カンボジアに行って一番驚いたのは、妊婦健診を一度も受けたことがなくて、陣痛がきて初めて病院に行く人が多いことです。朝産んで、夕方には赤ちゃんを抱いてバイクにまたがって家に帰った人もいます。

もともとポルポト政権でお医者さんのほとんどが虐殺されて、急遽増やすために一年間だけ学校に行って医者になった人が多かったという歴史的経緯もあります。今は違いますが。医療に対する知識、技術が足りないお医者さんが患者さんを診ているということで、タイやベトナムなど、周辺国の病院に行く人もいるといいます。」

ジャパンハートが活動するラオスは、国土の70%が高原や山岳。山間部にはおよそ10万人が住んでいる。そこの場所へ、無償の医療を届けるため、新しいドクターカーを購入しようと、クラウドファンディングに挑戦している。

菊地さん「クラウドファンディングは初めてです。ただ、ジャパンハートが設立するまでの間もネット上でたくさんの寄付を募ってはいました。

私はラオスやミャンマーで働いてきたのですが、何時間も何日もかけて、時にはお父さんが仕事を辞めて一家総出で病院に来てくれる患者さんもいて、まだまだ医療を求めている人はいると思います。現地では、専門の先生が来る日程に合わせて患者さんを集めたりしています。日本に対する信頼度は高いので、日本の専門のお医者さん、しかも無償で診てもらえるということで、とても感謝してくださいます」

厳しい面を問われた菊地さんは「今あまり思い浮かばないです」とコメント。「私も無給ですが、患者さんから貰えるものの方が大きかったり、同じ志をもっている仲間たちと働けるので。もちろん辛いことはたくさんありますが」と笑顔をみせた。

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