トラブルが多発する「民泊」サービス 賛成・反対に分かれて徹底討論

東京五輪に向け、宿泊者増加で宿泊施設不足が懸念されているが、政府はいわゆる「民泊」を推進するための法改正方針を発表。民泊サービス最大手のAirbnbが取り扱う部屋数も2015年10月の時点で13600室なのが、2016年10月には41000室と増加している。宿泊客は外国人が多く、その安さから人気となっているが、その一方でトラブルも発生している。それは、無許可民泊の経営者が逮捕されたり、利用者がマンション前にゴミを放置したり、指定日以外にゴミを出すなどだ。さらに、エントランスで騒ぐ利用者もおり、マンションや近隣住民からの苦情も寄せられているのだ。

そこで、11月1日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)の「喧嘩上等!!バトルスタジアム」では、「民泊を推進・拡大すべき! 賛成? 反対?」をテーマに議論された。民泊をする条件としては、「簡易宿所」の許可を得る必要がある。いくつか挙げると「客室の延べ床面積33平方メートル以上」「自動火災報知器や誘導灯などについて、消防の許可を得ている」「適当な数のトイレや洗面所の設置」などだ。番組では推進派と反対派に分かれて持論を述べ、その後議論に移るが、まずは推進派の意見を見てみよう。

【推進派】

・不動産総合コンサルタント・川畑重盛氏

「民泊は、個人が気軽にできるビジネスモデル。国際社会で交流することを楽しんでやってる方もいらっしゃる。これからの日本が国際化を実践するために必要な交流の場です」

・10件の民泊を運営する不動産経営者・国伸佳氏

「皆さんの認識が追い付いていないほど、宿泊施設が日本中で足りていないです。ホテルの稼働率は86%で、都内は99%埋まっており、予約が取れないんです。特に繁忙期は。民泊は絶対的に欠かせない存在になります」

・政治評論家・竹田恒泰氏

「去年だけで民泊サービスを138万人が利用しています。これがなくては日本のインバウンドは成立しないので、無くすのは無理です。ルールを作らなくてはいけませんが……。東京・大阪、ビジネスホテルがとにかく高い! 繁忙期には、6000円とか7000円の部屋が35000円とかするんですよ!」

【反対派】

・東京都ホテル旅館生活衛生同業組合理事長・齋藤源久氏

「ホテルの部屋代がすごく高くて部屋が取れない時代は終わっています。今年はホテルが余っていて、大体去年と比べて3000円〜5000円安くしている。稼働率は5〜30%ぐらい落ちています。その理由が民泊でしょう」

・違法民泊通報サイト「民泊ポリス」を運営するオスカー代表取締役・中込元伸氏

「実態に沿った法整備ができていない中、民泊が広がるのに反対なんです。良いところはありますが、近隣住民への迷惑などが問題となっています。一番の問題は、ホストが宿泊者を管理できていない点にあります。これら仕組みができるまでは『民泊ガンガン行こうぜ!』とは言えないです」

・慶應義塾大学特任講師・若新雄純氏

「素敵だと思っている。アメリカで産まれ、ホテルビジネスのミニチュア版のようなものですね。ただし、今の民泊のあり方は元の理念とは異なっているので、本来向かうべき民泊に向かうべきです」

・漫画家・峰なゆか氏

「突然、実家の親が民泊を始めて……。家に帰ったら外国人がいて困っちゃって……。親は楽しそうなんですよ。でも、娘からすると、自分が過ごした部屋に知らないオッサンが寝ていてダメージがでかいんです」

若新氏が「本来向かうべき民泊」と言ったが、これはどういうことなのか?

「民泊の本来の志はビジネスではなかったんです。ビジネスというのはお金をもらい、サービスをする。泊まる人はお金を払う。民泊は、ビジネスの限界の中でうまれたエコノミーでした。きっちりお金は払うけど、そこに行くと何かが起きる。想定外の経験を楽しんだり、持ち主に一時的に借りて新しい交流をする。すごく満足したら多く払ったりもする。ホテルの場合は決められたお金を払うモデルですね。日本の民泊も、そういう方向に法改正しようしている。となれば、ホテルビジネスの縮小版でしかないんですよ。モノが余った時代なので、ビジネスではないところで個々人がやり取りし、新しい交流が生まれていく。使う人もオーナーも民泊の哲学が分かっていなくてはいけないんです」

若新氏は、今回「反対派」ではあるが、それはあくまでも政府の目指す法改正の方向と今の民泊のありようが、ホテルと大差ないところにあるからだと考えているようだ。なお、反対派の齋藤氏は「ホームステイ型」には賛成だが、「投資型」には反対だという。そして、昨今、宿泊施設が足りないという指摘が多数出ているが、これについてはオフィスが余っている現状があり、これからはそうした物件をホテル化する投資が増えると解説した。

また、推進派の川畑氏はあくまでも使う人の立場で議論されるべきだと主張する。毎度民泊で議論されるのは、宿泊関連の業界団体をいかにして守るか、近隣住民からのクレームなどであり、利用者の利便性については議論がされていないと意見。そもそもAirbnbは1兆円企業で世界190か国に進出しており、使う側のニーズが多い業態だとし、「今までのホテルや旅館では満足できない人のトレンドを捉えているのです」と語った。

■外国人のマナーの悪さは、注意すれば改善されるもの。マナーを知らなかっただけ

また、実際に運営している国氏は「私が運営しているのは、基本的にはマンションです。民泊を使っているお客さんはホテルと比べます。民泊が良いからと言う結論で選んでくれているのですね。民泊は、あくまでも選択肢として存在していて、どこを選ぶかはお客さんの自由です。選択肢を反対するとか消すとかいうのはないかと思う」と語った。

その一方、反対派の中込氏は、近隣住民にも配慮すべきだと釘を刺す。

「運営する側と泊まる側の視点があります。基本、民泊は住宅街にあるので、周りの住民の意見も聞かなくてはいけないんです。本日、私たちのサイトに寄せられた苦情内容を持ってきました。『ゴミの問題がある』『外国の方はゴミの捨て方が分からない』『ベランダから空き缶や食べ残しを捨て異臭が発生する』『駐輪所まで、ゴミの山をかきわけなくてはいけない』『騒音。かなりの頻度でドアを開けて宴会』『酔った外国の方がインターホンを連打してくる』『運営者がオートロックの番号をネット上に堂々と書き込む』——こういうのを取り締まっていくにはホストの意識も変えなくてはいけないでしょうね」

また、中込氏は、すでに民泊業態では淘汰が始まっていると指摘する。今から参入しようとする人は慎重に検討すべきだというのだ。前出の通りAirbnbには41000件も登録されているだけに、人気のエリアでは数千件も登録されている。検索した時に上位に来なくてはいけない上に、テレビやエアコン等の設備も揃えなくてはいけない。客が来るかわからない上に儲からないかもしれず、近所に迷惑をかけるかもしれないので慎重に進めた方が良いと語った。

外国人観光客のマナーについては、数年前に比べ、随分良くなっていると竹田氏は語り、峰氏も実家の宿泊客には英語の注意書きを貼ったら道端での酒盛りなどは無くなったと同意。「マナーが悪いのではなく、知らなかっただけでしょう」(峰氏)。

同様に、民泊を運営する国氏も、かつてはアメリカの客が騒いでいたが、「夜は騒がないでください。日本はそういう文化ではない」という張り紙を書いたら改善されたと自身の経験を述べた。

こうした議論を受け、ジャッジ役を務める番組MCのケンドーコバヤシは「拡大すべき! サービスというものは自由競争。民泊も旅館業界もより良いサービスを出そうとする。たくさんの人に日本に来ていただきたい」と推進派に賛同したようだった。

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