町山智浩氏、アメリカの大麻事情を解説 なぜ大麻に寛容なのか?

元女優・高樹沙耶容疑者が大麻取締法違反(所持)で10月25日に逮捕され、にわかに大麻に関する関心が高まっている。高樹容疑者は、今年7月の参院選に「医療用大麻解禁」を訴えて出馬。結果落選したが、政見放送等でこの件について広く訴えていた。

日本では医療用であろうと嗜好用であろうと大麻は禁止されているが、アメリカでは25の州で医療用大麻が解禁されている。また、コロラド州では大麻関連税収が70億円に達し、その税収はアルコールの税収を上回るほどだとか。アメリカの大麻事情について在米の映画評論家・町山智浩氏が10月31日放送の『AbemaPrime』(AbemaTV)に出演し最新事情を語った。

町山氏は現在カリフォルニア州在住だが、自宅の近くには「マリファナ屋だらけ」という状態なのだという。医療大麻の販売が合法化されており、買うにはライセンスを取る必要があるが、その名目は「腰痛」、「ニキビ」、「寝られない」など何らかの身体的不調の症状を訴えればよく、それでライセンスが取れるのだそうだ。

番組MCのウーマンラッシュアワー・村本大輔は「ネットで見たら大麻はタバコよりいい、と書いてありました。ただ、幻覚とかあるという話もありますよね」と質問。それには町山氏は「幻覚を見るのはLSDとかです」と否定したうえで、なぜ大麻がアメリカでは緩く日本では厳しいのかについてこう語る。

「アメリカでは、医学的には害はないということをクリアしているのです。ただし、社会的害はあります。たとえば、高校生とかがやると勉強しなくなりますね。ただ、コロラドで解禁され、合法化になって裏で取引されなくなったら未成年にあまり大麻がまわらなくなったということもあります。コロラドでは、嗜好用も含め全部解禁です。お店の人が『どういう目的?』とか聞いてきて、それに答えると量とか吸い方を教えてくれます」

そんな状況はありつつも、番組コメンテーターの8bitnews主宰・堀潤氏は懸念を示す。

「カリフォルニアのアナハイムでマリファナサミットという展示会を取材しました。そこである一角で医者が常駐していて、医療用を吸うことができるライセンスを取れる場所がありました。皆さん『しんどい……』と言ったらライセンスをもらえると思って並んでいる人もいると思いました。歯止めが利かなくなったらどうなるのでしょうか。日本でも解禁されたら(様々な整備が)追いつかないのでは?」

町山氏は、

「カリフォルニアでは、住民投票で解禁になるのです。観光客も買えるようになるので、政府は緊張しています。大麻は色々な物質に変わっています。液状のものもカプセルもあるし、葉っぱもあるし、キャンディーにもなっています」

と答え、全面的に懸念がないというわけではないようだ。

また、町山氏は、大麻はポルノ業界とも関連があると語る。

「大麻を吸うと抑制がなくなるんですよ。ハードコアポルノに出てる人は貧しい地域から来ている白人が多い。そういう女の子って宗教的なのですよね。ハードコアポルノはいけないことという価値観がある。アメリカのセックスポルノでは、苦しそうな顔をしてはいけず、常にニコニコしていなくてはいけないというレギュレーションがあります。だから大麻を使うのです。みんな田舎から出た貧乏な子だから罪悪感があります。大麻をやらないと笑顔になれないんですよ」

■アメリカが大麻に寛容な3つのポイント

村本が「なんで日本はこんなに厳しい?」と聞くと、町山氏はアメリカもここに至るまで60年かかっていると説明し、日本もあと何十年かかかるでしょうと意見した。また、前出のコロラド州の場合は、収入が少ない州なので大麻の販売によって助かっている側面もあり、町おこしのようになっているようだ。しかも、大麻で得られた税金が小学校のために使われているのだとか。

番組キャスターのテレビ朝日・小松靖アナが、大麻を規制することでむしろアンダーグラウンドへ金が流れ、反社会的勢力の資金源になったりするのでは、といった質問をすると町山氏はアメリカが合法化に向かった3つのポイントを挙げた。

「一つ目はアンダーグラウンド、つまりはヤクザ、ギャングの資金源を断つってことです。大きいのは、メキシコの麻薬カルテルがアメリカに送っていた大麻を断つということです。これを政府がコントロールし、メキシコの麻薬カルテルの資金をカットするのです。

次は、アメリカの刑務所に入っている人は世界で一番多い点を考えたい。収監されている人間の多くが大麻所持で捕まった人です。司法にかかる予算が莫大なのです。完全に犯罪にしないことで警察の使う金も減るし、犯罪者に使う税金も減るし、刑務所も空く。よって、大麻を犯罪視しないということにしたのですね。個人使用と個人所持は罪に問わない。サンフランシスコ市の警察署では、ホームレスが階段で吸っていますが、警官はスルー。こんなもんを捕まえてもね……ってことです」

そして、3つ目のポイントとして酒の問題を挙げた。酒は肝臓を含め、人を破壊するという認識がある。そして、アルコール中毒の治療に大麻が使われることもあるという。アルコールは断たなくてはいけないので、断酒の時に大麻を使う。町山氏は「作家の中島らもさんはアルコール依存症でしたが、大麻を使っていた時は酒を断っていました。医者としては、直接内臓に影響がある酒よりは大麻の方がいいと思っています。アメリカではかつての禁酒法の時代にマフィアが育ったのですね。禁酒法で莫大な収入が獲得できたのです。禁酒法という失敗をしたので、大麻も酒と同じで禁止するとデメリットが多いのでは? ということですね」と3つ目のポイントを挙げた。

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