「まるで見えているようだった」 驚異の聴力を持つ、ブラインドライター松田昌美さんに密着

AbemaTV『AbemaPrime』で7日、ブラインドライター・松田昌美さんを密着取材。またスタジオに招いて話を聞いた。


都内で暮らす松田昌美さん、30歳。実は彼女の目はほとんど見えていない。きわめて全盲にちかい弱視で、ロービジョン。体重1300グラムという未熟児で生まれた松田さんは未熟児網膜症で、両目とも未熟児網膜症の合併症によって、そのたびに視力が下がったり見えなくなったりを繰り返してきた。

4歳で右目を失明し、最初は見えていた左目も26歳の時に病気が進行、今では光を感じる程度にしか見えないという。10年前に実家を出て現在は東京で一人暮らしをしているが、人並み外れた聴力の良さをもつ。

そんな彼女の「聴力」を生かした仕事、それが「ブラインドライター」。取材やインタビューなどの音源を文章化する「聞きおこし」という仕事だ。まず音源を聞いて、パソコンで文章を打ち込む。そして打ち込んだ文章を確認するため、一文字一文字、音声ソフトが読み上げる文字を確認し、正確に打ち込んでいく。さらに書き起こした文章を音声で確認する「聞き直し」の作業では、通常の3倍以上のスピードだそう。

そのスピードと、音から拾い上げる情報の詳しさにクライアントから驚かれることも多いのだとか。


松田さん「カフェとか対談とかで向き合って座っているときには、どんな服装か、メガネの有無、髪の長さなどの大体の様子はわかります。文字の読み書きは、病気が進行してからはできないんですけれど、それまではやってきたということがあるので、文字の構成とかはわかっているつもりです。通行する車でいうと、例えば宅配便のクール便と普通のトラックの違いなどはわかる。詳しくはわからないんだけど、おそらく積んでいるエンジンとかトラックの大きさが違うんじゃないかな」

取材したディレクターはその通勤の様子にもすごく驚いたという。まったく止まることなく自然に曲がり角を曲がるし、まるで見えているようだった、と。


松田さん「総合的にみているところがあるので、これっていうのは難しいんですけれども、だいたいは足の感覚と、繰り返し歩行することによって、道の幅とか風景とかをわかっていく。杖で確かめながら歩くという感じです。怖さ? 生まれつきだったのでそんなに感じることはないんですけれど、『怖いな』ということも勉強のひとつなので、恐れずにやっていこうと思っています」


松田さんのように視覚障害を持ちながらもさまざまな分野で活躍している人はほかにもいる。例えば、記憶に新しいのが先日行われたリオパラリンピック。日本勢が数多くのメダルを獲得したが、このうち視覚障害をもつ選手で柔道男子60キロ級・廣瀬誠選手、自転車女子ロードタイムトライアルB・鹿沼由理恵選手、そしてマラソン・道下美里選手が銀メダルを獲得した。さらに競泳の木村敬一選手は、なんと4種目でメダルを獲得。


しかし、未だなかなか行き届かない部分も多くある。埼玉県視覚障がい者福祉協会などが行った調査によると、「外出時に危険や恐怖にさらされたことはあるか?」というアンケートに対し、67%が「ある」と回答。その状況は、電車の乗降時や、杖をつきながら歩く時の「体や白杖の接触」。さらには心無い厳しい言葉をかけられるなどの「対人トラブル」がほとんどを占める。最近では「歩きスマホ」でぶつかることが多いようで、特に駅構内での歩きスマホには「危険を感じている」という意見が多くあった。


また今年8月、東京メトロ・銀座線の青山一丁目駅で盲導犬を連れた男性がホームから転落し電車にひかれて死亡した事故。この駅には転落防止用のホームドアは設置されていなかった。この事故を受け、日本盲人会連合は「転落の危険が高い駅にホームドアの設置を急ぐ」よう要請。先月、東京メトロは、ホームドアのない駅や目の不自由な客が多く利用する38の駅に駅員を増やし、配置する時間も拡大すると発表した。


松田さんは、このニュースに対し、

「とても痛ましい事故だなとまず思いました。慣れている駅だっただろうし、少し余裕をもって利用していたのかなとは思いますが…。その場に私がいたわけではないので何かをいい難い部分はありますが、盲導犬がいるから、周りの人も『犬がいるから大丈夫』と思ったのかもしれない。私たちも気を引き締めなくてはいけないし、周りの人も犬がいたとしても、大丈夫かなと思ったら、気軽に一声かけるだけで変わっていくことがあるんじゃないかなって思います」

とコメント。MCの椎木里佳氏も、「駅のホームでは、歩きスマホでなくても(並んでいるときなどに)スマホを見ている人も多い」ことを指摘しながら、もう少し互いが他者を意識する社会になれば、何かが変わっていくのではないかという見方を示した。


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