難民受け入れをめぐりハンガリーで国民投票も無効 どのような影響がでるか?

EUに加盟するハンガリーは1200人の難民受け入れを割り当てられたが、2日、難民受け入れの是非をめぐり国民投票が行われた。その結果、反対票が98%となり、圧倒的に難民受け入れに反対する人が多かったが、投票率は約40%と低迷。投票率が国民投票の成立に必要な過半数に届かず。投票は無効になった。

そんな中、オルバン首相は反対派が多数であることを強調した。同氏は難民に対して強硬姿勢を取ることで知られている。過去、難民の流入に対処することで非常事態を発令したことや、不法入国は犯罪であると主張し、難民200人を一時拘束したこともある。去年中東からヨーロッパ等に渡った難民・移民は100万人を超える中、今回の選挙は不成立とはいえ、ハンガリーの投票はどんな影響を与えるのか。


3日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)では、ハンガリー事情に詳しい青山学院大学大学院の羽場久美子教授が出演。まずは難民と移民の違いについて解説した。

「移民というのは経済移民です。働きに行ってそこで稼いで、祖国にお金を送るとかをする人です。難民というのは政治難民。空爆とかISのテロなどで命からがら国を追われる人のことですね。移民は世界で2億3000万人いまして、難民は6000万人ぐらいいます。難民は命からがら逃げてくるので、国連条約では保護する責任があり、食料を与え、雨風をしのげる家を与える必要があります

ハンガリーはEUの東と南の端っこにあります。欧州に100万人の難民が入ってきましたが、ほとんどがハンガリーを経由するかイタリア、ギリシャ島などの地中海を経由します。ハンガリーでは、『入ってくるな!』ということをやったのでEUで問題視された面もあります。最終的には難民はドイツを目指すのですが、その中途段階としてハンガリーを経由するのです。難民を国境線で拒否して、軍隊・警察で入れないようにしたのでEUで問題になりました。ただ、ハンガリーは人口900万人くらいなので、そこに100万人入ってきたら怖いというのはあるのでは」と語った。

番組出演者の8bitnews主宰・堀潤氏はハンガリーや周辺諸国は元々社会主義だったこともある点を指摘。元々社会主義国に盟主・ロシアがウクライナへ侵攻するなどしたが、EUがEUとしてまとまるのはロシアとしても不都合だと考えているのだという。そんな中、過激な物言いの首相をハンガリー国民が支持している状況があらわになったことがどのような影響をEUに与えるのか懸念を示した。そこで「ある種排斥とかが進むぐらいハンガリーは経済が弱い。それほど民族主義ですか?」と羽場氏に質問。これに羽場氏はこう答える。


「ゼノフォビアという、もともとはギリシャの言葉があります。外国人排斥という言葉。これが欧州で広がっています。これは人間の本能でもあると思います。数十万人が自国に入ってきたときに否定したくなるのは理解できる。EUのモットーは多様性の中の統合。移民も難民も受け入れることになっているはずなのですが…。イギリスも国民投票でEU離脱を決め、フランスでも極右政党が勢いを増した。移民を受け入れたドイツでも、去年の大晦日からお正月あたりにレイプ事件等、難民の治安悪化が始まったという状況でのハンガリーの選挙です」


■年収低いハンガリーの国民の不満をそらすためか?

ここで、ハンガリー在住のPAPP HIDEKO氏とSkypeで中継が繋がり、ハンガリー国内の状況が語られた。

「国内のムードは、投票率がとても低いということがあり、不成立。これ、複雑でメディアであまり報道されていないのですが、今回の国民投票自体が、オルバン政権のEUに向けたパフォーマンスともいえます。このキャンペーンに対し、200億フォリントという巨額のお金が投じられました。『なぜ国民投票というイベントをやるの?』という、しらけムードがあります。国民の総意としては、難民は受け入れれたくないものの、このイベントをすることにして、しらけているところがあります。

オルバン政権は基盤はしっかりしていますが、社会主義から民主主義になったので、根本的に社会主義的なものが残っています。ハンガリーでは、野党が育っていません。いくつも野党がありますが、最近ようやく共闘し、物言いをする状況になった。それでも政権の方が強くその声がかき消されています。国に住む人の本心としては、市民病院とか、公共機関とか全国に高速道路もできていないのに何やってるの? という意識があります。私は田舎に移住したのですが、でこぼこの道が多い。とても整備がされていないのですね。このように、税金が正しく使われていないことに国民の不満があります」


ここで番組MC・ウーマンラッシュアワー村本大輔が「税金が投票に使われたってことですね。98%が反対に至る地元の人の判断は?」と問いかけた。

「ハンガリーのサラリーマンは平均年収100万円弱です。そのぐらい経済的に低い。経済の不満とかをオルバン政権は移民を仮想敵にして、その不満を移民とか難民に向けた面もあります。内政の不満を、ナショナリズムに目をつけて不満をそらそうとしています。ハンガリー人のお友達とか、ママとかは政治の話とかはします。その人たちの声を聞くと、私が今日お話ししたことは、ここで暮らしている人の実感の声を拾って話しているところがあると思いますよ」

また、羽場氏は、オルバン首相のナショナリズムに対する批判がかなり出てきている現状もあると説明。イギリスのEU離脱の時もそうだが、政権が体制固めのために国民投票を利用したのに対し、国民が不満を持った面もあるのでは、と語った。


堀氏は、これは日本にも当てはめる必要があると考え、移民を受け入れる場合は一体日本のために何ができるかを問う必要があると語った。そして、「安い労働力のため」に移民を受け入れるのはお互い不幸な結果をもたらすと述べた。

「『私にはこんな技術がある』ということを主張し、お互いの発展・幸せになることを考えるのはいい。経済界は、安い労働力が必要だと言い、安直な移民受け入れを考えています。となれば社会保障や税金の不平等性みたいな話が生まれてしまいます。難民はしっかり受け入れた方がいい。自分の国に戻ったら『お互い世界平和のためにがんばろうね』という関係が理想ですよね」(堀氏)


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