市議「事業者任せだった」 武蔵野市、住民反対運動で保育所の開設断念

“住んでみたい街ランキング”では常に上位に位置する人気の街・武蔵野市吉祥寺で、2017年4月に開設が予定されていた認可保育所の運営事業者が住民反対運動により撤退。9月29日、武蔵野市は保育所の開設を見送ることを発表した。

■「保育所開設」断念までの経緯

その認可保育所は、住宅街の細い道路沿い、およそ500平方メートルの更地に建設が予定されていた。申請した運営事業者は埼玉の自動販売機管理会社で、0歳から5歳の81人を定員とする保育所を建設し、来年4月に開設する予定だった。

しかし8月30日、近隣住民数人が、「予定地周辺の道は狭い上、交通量が多く、安全が確保されていない」として建設見直しの陳情書を市に提出。予定地は、2つの幹線道路に挟まれていて、その抜け道になっているため、朝の通勤時には、交通量が非常に多いというのだ。

住民からの反対を受け、事業者は同意が得られるまで、工事開始を延期することを決定。さらに9月20日、近隣住民19人が「建設不同意書」を市に提出。結局9月28日、事業者が建設を断念することを市に報告。市によると、事業者は「保育士まで確保し準備していたが、住民の同意がなく、地域から孤立する保育園であってはならない」と説明したという。

■市と事業者に温度差

AbemaTVの報道番組『AbemaPrime』では、改めて事業者に連絡を取ったが、「担当者が不在」とのことでコメントは得られなかった。

一方、武蔵野市長は、「待機児童解消に向けた事業として期待していたが、大変残念」とコメント。番組では武蔵野市議会議員・川名ゆうじ氏にも今回の見送りについて聞いたところ、

「基本的には、(保育園の開設は)事業者の責任で行うということが前提になっているんですね、今。それもあって、市も事業者さんにおまかせしていたという感じはするんですが、今となってはそれだけでよかったのかと私も思いますね。今年の7、8月、問題が大きくなったとき以降、市も支援を強化したことで、安心できる保育園に近づいたのかなと思っていましたので、もう少し早いサポートがあればよかったのかと、今になっては思います」

とのコメント。“事業者任せ”で市としての対策が後手に回ったことに、悔しさをにじませた。

なお、住民の声を聞いたところ、「残念ですよね。来年は絶望的ということを言われて、仕事を探すのにも…(影響がある)」「場所にもよると思うんですけど、通わせる身としては、交通量は気になる」など、さまざまな意見があった。

『AbemaPrime』MCの池澤あやかは「少子化と言われている中、保育所とか、預けるところがないと、(子供を)作りたくてもつくれないのでは? でも近隣住民にすると…ということもあると思うので、誰が“損”をするかという、ある程度折り合いをつけていかなくちゃいけないのかなと思う」とコメント。さまざまな立場の人が生きる社会で生活するにあたり、互いの理解も重要であるという見方を示す。

今年度の武蔵野市の待機児童数は122人。市は、2018年春までに待機児童を解消する計画のもと、今年6月には、新たな保育所の開設を求める市民およそ4000人が署名した陳情が、市議会で採択。そして今回の認可保育所は、市の待機児童122人のおよそ3分の2を受け入れることが見込まれていた。

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