「バリバラは誠実に時代の変化を取り上げた」 映画監督・原一男が障がい者の意識を語る

ダウン症の児童の披露するダンス、両足マヒの男子が登頂した富士登山などで35.5%の最高視聴率を記録し、2億3千万円の募金を達成した先日放送された日本テレビの「24時間テレビ」。

その同時刻の裏番組となっていたNHK Eテレ「バリバラ」では、障がい者=感動話とすることについて当事者を中心に議論がなされ、ネット上では「NHKが日テレにケンカを売ってる!」といった意見が溢れた。



8月30日の『AbemaPrime』(AbemaTV)ではこの件について取り上げ、さまざまな立場の当事者から、「メディアは障がい者をどのように取り上げるべきか」という議論がなされた。


▪︎40年前、脳性麻痺のドキュメンタリーに文句を言ったのは誰だったか?


40年前に脳性麻痺(CP)の男性を主人公にドキュメンタリー映画「さようならCP」を制作した映画監督・原一男氏が登場。MCの村本大輔(ウーマンラッシュアワー)に「映画を撮ったのは感動させようという気持ちがあったからですか?」と質問をされると、「心の優しい彼らと作品を作りたいと思っていたが、感動なんてもんじゃなくて世の中に喧嘩を売るつもりでこの映画を作ろうと思っていた。社会をぶっこわしてやろうと思っていた。権力に対して憎悪がありました」とコメントした。

脳性麻痺の男性に自身の膝で横断歩道を渡る模様をすることや、彼らが恋愛をすること、結婚をすることに文句を言ってきたのは常に「健常者」と呼ばれる人々だったという。


▪︎NHK・日テレ両方に出た「障がい者観を変えたい」


ゲストコメンテーターとしてさらに難病を抱える大橋グレース愛喜恵、そして車いすバスケット、ブラジリアン柔術などで活動するアスリート堀江航も登場。

グレースは「”障がい者観”を変えたいと思って出た。障がい者はがんばっている・がんばらなければならない・まじめな人と思われるが、障害者にも悪い人はいるし、同じ人間だから。みんな違ってみんないい、いろんな生き方があっていい。それを伝えるのが私の仕事」と今回の両番組の出演についてコメントした。

また、今回の炎上に関しては「“障がい者観”は24時間テレビに対してではなく、どのメディアに対しても考えなければならない問題」と指摘した。



堀江は「イメージっていうか、人ってだれしもがなにか辛いこととかイイたくないことってあるかもしれないけど、僕らは目に見える形であるから言われるんで、別にそんなの気にしてないけど……ってのがありますね」と、普通に生きているだけで特別視されることに疑問を投げかけた。


▪︎40年の歴史の中で変わってきた「障がい者」を取り巻く状況


また、原一男監督は今回の件に関して「NHKの『バリバラ』がすごいんじゃなくて、40年経った歴史のなかで障がい者といわれる人の意識が変わってきている」と指摘。「一番目立っているのは性に対する問題」とし、性交や自慰に関する支援団体を例に挙げ、時代の変化を解説した。その中で「誠実に時代の変化を取り上げているのが『バリバラ』」と、この流れを正しく取り上げていることに賞賛を送った。


また、「バリバラ」で話題になったのが寝たきり芸人・あそどっぐの出演。カッパの扮装で寝たきり状態で“ただそこにいた”ことが話題となっており、番組ではあそどっぐ本人とも中継を行った。



あそどっぐは「僕カッパやってただけなんで……。関係なく見てもらえたらうれしいなとは思ってた。今回意味もなくバリバラでカッパやらせてもらえたのがうれしくて。障がい者がテレビに出ると意味を持たせられるんですよ」と、ただ笑ってもらえることがうれしいことであると語った。



慶應義塾大学特任講師の若新雄純氏は今回の件を「炎上ではなく単純に盛り上がったんだと思う。僕らがメディアで演出されているものに対する違和感みたいなものが蓄積されてきていて、まさに絶妙のタイミングで一石を投じた」と分析。

グレースは「まず当事者の声をちゃんと拾って欲しいということと、一元的な描き方だけではなく、さまざまな描き方をしてほしい」と訴えた。


もうすぐリオパラリンピックの開催も間近。メディアにおける「障がい者=感動」の図式は今後どうなっていくのだろうか。


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