天皇陛下「お気持ち」表明 今、国民に求められるものとは


宮内庁は8日午後3時、天皇陛下が象徴としての務めについてのご自身の考えを示されたビデオメッセージを公表した。ビデオは天皇ご自身の考えを国民に伝える約10分間の長さ。2011年の東日本大震災時に次いで2回目となる天皇ご自身によるビデオメッセージなだけに、いかに珍しいことかが伺える今回の事態。

7月13日に「生前退位」のご意向を示されていたという報道を受け、注目されていたが、「生前退位」についての直接的な言及はされなかった。しかしながら、「次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊で象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じて」いると「生前退位」についての意向を示唆した内容となった。

冒頭では「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したい」と述べられた。皇室典範においては「生前退位」が認められていないこと・天皇はあくまでも政治的権力を有していないことを踏まえ、あくまでもご自身の考えを表明された。

また自らが2003年と2012年に2度の外科手術を受けたことに加え高齢に加え体力の低下を感じるようになったことから、「これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合」に、どのように身を処していくかを考えるようになられたという。

天皇が高齢化された場合のその公務について「限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われ」るとし、また天皇が重病や未成年の際に置かれる摂政という役職については、「この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」とご発言された。

また、健康を損なうなど、天皇という務めに関して深刻な事由が生じた場合、「これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念され」ると、昭和天皇が崩御される前の連日、社会全体が自粛した雰囲気になった時代の自身の経験から語られる場面もあった。

現行の法制度では天皇の「生前退位」が認められていないことを踏まえ、皇室ジャーナリストの神田秀一氏は3つの議論が政府で展開されていくと述べた。

それは1摂政制度の利用、2今の陛下にだけ限定した特別立法の制定、3皇室典範の改正だという。しかしながら「いずれも簡単ではなく、答えは簡単ではない」と述べた。

こうした状況下で今、国民に求められるものとは一体何であろうか。

明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏は今回の事態を、国民にとって「天皇とは何かということを改めて知ることができる大変貴重な機会」であると説明。

加えて、今回の天皇のビデオメッセージについては「このままでは象徴としての務めを果たすことができなくなる可能性が将来あるという将来への課題の投げかけ」である」と述べた。また、今後については「答えではなく、今後の課題が提示された」ため、「しっかりと国民が議論して決める必要がある」と、国民レベルの課題であることを示した。

日本国と国民の象徴としての天皇。象徴としての務めが以前のようには果たせないといった事態を考える絶好の機会である今、国民一人一人の判断が試される。

続きを見る

0コメント

  • 1000 / 1000