不法滞在で強制退去処分のタイ人少年、東京高裁に控訴 どのような結果になるのか?

山梨県甲府市で生まれ、現在16歳になるタイ人の少年がいる。彼の名前はウォン・ウティナンさん。14歳の時に不法滞在を理由に強制退去処分を入国管理局に言い渡された。

母親は1995年にタイ人ブローカーによって騙され、ビザがない状態で日本に連れられ不法滞在のまま働いていた。そして2000年、ウティナンさんを出産した。

不法滞在の発覚を恐れて各地を転々としつつ生活をしていたせいで、ウティナンさんは小学校に通えなかったが、母親の学校に通わせたいという思いから甲府市内の人権支援団体を訪問、支援団体の主催する学習教室に通い始めた。

2013年、勉強の末に市内の中学校に編入した。しかし同年、在留特別許可を得るために東京入国管理局に母親自ら出頭するが、約1年後に不法滞在を理由に強制退去処分を受けた。

だが、生まれも育ちも日本であるウティナンさんは強制退去を取り消そうとチャリティーバザーや署名活動を行い、2015年に東京地裁に提訴。だが2016年6月、東京地裁は親子の訴えを退ける判決を下した。

これに対して、ウティナンさんは、翌月14日にウティナンさん単独で東京高裁に控訴した。もしもそこで母親のみ強制退去になっても、ウティナンさん自身は日本に残る覚悟をしているという。

そんな現状のウティナンさんに話を聞いた。強制退去を言い渡されたことについては「茫然とした。悲しいのと悔しいのと辛いのとで気持ちがいっぱいになった。16年間生まれ育った日本にずっと居たいという気持ちから、東京高裁に控訴する覚悟をした」と答えた。

加えて、次の裁判にむけては「絶対に勝ちたい。もし勝ったら働いて貯金をして、タイに強制退去されてしまった母親に会いに行ったり、世話になった友人や人権支援団体の人々に恩返しがしたい。」と回答。ウティナンさんの言葉の端々に彼の日本への愛着と、彼のもつ優しい心がうかがえた。

強制退去処分の判決に対して、入管事件を多く取り扱う弁護士の指宿昭一氏によれば「負けたのがおかしい。東京高裁では勝たなければおかしい。ウティナンさんに関してはなんの責任もなく、人道的な判決をした場合、在留特別許可は下りるのが普通である」とコメントした。

また、この裁判でネックなのは母親の存在であり、もし母親のみの強制退去であれば可能性はある。つまり「東京高裁では勝てる可能性は高い」という。

そしてもし母親のみ強制退去になった場合の保護者不在の問題に対して、山梨県の人権支援団体「オアシス」の事務局長である山崎俊二さんは「国家は母親に強制退去をさせる以上、保護者を用意するべき。しかし保護者という存在の責任感は絶大であり、容易に引き受ける人はいない。母親を強制退去させるということは重要な責任を伴うのではないか。」と主張した。現在は山崎さん本人が里親として登録されている。

現在、日本には推定6万人もの不法滞在者がいるという。そんな中で入国管理という制度を画一的に運用することは法治国家である以上、必要とされる。だが、実態や当事者の状況から人道的な判断を下す柔軟さも必要だ。ウティナンさんの控訴がどのような結果になるのか注目が集まる。

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