麻薬容疑者400人超射殺 比大統領の強硬姿勢に世界中から異論噴出

“フィリピンのトランプ”と言われるフィリピンのドゥテルテ大統領の施策が波紋を呼んでいる。大統領選の公約どおり、警察が違法薬物の容疑者を現場で射殺。その数は大統領就任翌日の7月1日から8月2日までの1ヶ月で402人を数える。単純計算で1日12人以上が殺害されたことになる。これに対し恐れをなした薬物中毒患者や密売人ら約57万人が当局に出頭するなど、取り締まりは一定の成果を上げている。

一方、人権団体からは「基本的人権をないがしろにしており、ドゥテルテ政権は行き過ぎである」「“超法規的殺人”ではないか」と批判が上がる。

ドゥテルテ氏はダバオ市長時代、自警団による薬物犯罪者の「暗殺」を容認する姿勢も示してきた経緯がある。人権団体や非政府組織(NGO)は2日、ドゥテルテ氏の薬物取り締まりが国際規範を逸脱していると批判。国連機関に「容疑者殺害の扇動の中止を大統領に要求するように」と要請した。

一見行き過ぎとも思えるドゥテルテ大統領の取り組みについて日経ビジネスの柳瀬博一氏は「5月の大統領選の時から語っていたが、本当にやるのかと驚いている」と語った。

これに対してフィリピン在住のノンフィクションライター水谷竹秀氏は「これまでの政権ではできなかったことに対して厳しく臨む姿勢は国民からは高い支持を得ている」とフィリピンの世論を説明。その理由について「フィリピンは経済成長が続いてきたとはいえ、その恩恵を受けているのは中流、上流以上。依然として貧困層は苦しんでいる。麻薬や汚職といったことについて”もうコリゴリ”というのが本音だろう」と語った。

確かに南米の一部の地域では麻薬組織が警察組織よりも高い武力や政治力を持ち、政治に対して圧力をかけてくる事例も存在する。「フィリピンのトランプ」の強いリーダーシップに国民の期待が集まっている格好だ。

だが、意外な“ダブルスタンダード”も明らかになった。麻薬密売人や中毒者に対しては強硬姿勢を崩さないドゥテルテ大統領だが、国内の麻薬王に対しては面会しただけでその後の捜査に着手せず。この姿勢に対して「二重の基準だ」と批判も巻き起こる。

実際フィリピン人はどう感じているのか。フィリピン人のイグナチオ・ディー氏は「マニラでもこういうやリかたは驚きをもって迎えられた。だが、過激に、そして広範に展開した結果、治安の改善はできた。夜に町に人影は増え、明らかに治安がよくなった」と語る。

すでに世界各国のメディアや人権団体は批判的な論調だ。このまま強硬姿勢を貫けるか。“フィリピンのトランプ”の次の言葉に世界が注目している。

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