「黒田バズーカ」ならぬ「黒田ピストル」⁉ 日銀追加緩和に市場は失望感か

29日、日本銀行が追加の金融緩和を決定した。金曜を「マネーDay」とするAbemaTV『AbemaPrime』では、番組コメンテーターで経済評論家の川口一晃氏が解説するとともに、日本銀行での勤務経験もある、経済アナリストの池田健三郎氏をゲストに迎え、話を聞いた。

緩和は今年1月のマイナス金利政策導入以来、半年ぶり。日銀は「2017年度中に2%の物価上昇」を目指し、黒田総裁は就任後3回にわたって「黒田バズーカ」と呼ばれる大規模な金融緩和策を打ち出しているが、それでも景気の回復をなかなか実感できないため、今回の緩和策に至ったのだが、期待に反して規模が小さかったため、市場には「失望感」が吹き荒れた。

番組では、これらが何を意味するのかがサッパリわからない番組MCの20代コンビ、池澤あやか(25)とハヤカワ五味(20)にもわかるように解説が試みられた。

■追加金融緩和決定で起こったこと

今回の追加金融緩和で日銀は、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)を市場から買い入れる金額をこれまでの年3.3兆円から年6兆円へとほぼ倍額まで増額。一方で、期待されていた国債の買い入れ額の拡大や、金融機関が日銀に預ける当座預金に一部適用するマイナス金利は、マイナス0.1%に据え置かれた。

この決定を受け、追加緩和の規模に対する失望感から東京株式市場の日経平均株価は一時300円以上値下がりしたほか、円相場も一時102円台と一気に円高が進んだ。

■追加金融緩和決定は「失望」なのか

追加金融緩和について、川口氏は、「確かに失望感はあり、“黒田バズーカ”が“ピストル”くらいになった」と表現。しかし池田氏は、

「そうはいっても、やることは最低限やっている。お腹いっぱいにはならないけれども、当面これを食べておいてねというメニューは出した。今回は、イギリスのEU離脱など、予想だにしない海外市場の動きがあり、日本も弱気になる。そういったなかでまた(バズーカを)撃ちまくるわけにいかない」

と、日銀の決定を支持する。

■そもそも「黒田バズーカ」って? マイナス金利を据え置いた理由は

【黒田バズーカ】

・1回目:2013年4月/長期国債の買い入れを2年で2倍に増やす。これが市場の予想を大きく上回ったことから、「黒田バズーカ」とも評された。

・2回目:2014年10月/日銀が1年間に買い入れる資産を20兆円増やし、80兆円に。

・3回目:2016年1月/マイナス金利を発表。金融機関が日銀に新たに資金を預ける場合、年0.1%の手数料を課すものだった。

今回、マイナス金利を据え置いた理由について、池田氏は

「民間の銀行は、日銀にお金を預けていると、利子がつくんです。そうすると、民間銀行は(個人や企業に)お金を貸さなくても儲かるので、貸すのを渋り始め、世の中にお金が出回らなくなります。

そこで、マイナス金利として、民間銀行が日銀にお金を預けても得はしない“ペナルティ”をつけることで、(民間銀行は、世の中に)お金を出すしかなくなった。ただ、もっとペナルティを増やすと今度は銀行の体力が弱ってしまう。罰を与えれば貸すというものでもないので、今は様子見というところ。黒田さんは時間稼ぎをしたということになります」

と解説。

■ETFって何? 日銀が買うと、どんないいことがあるの?

「ETFというのは投資信託のこと。いろんな株式をまとめて売り買いするということです。日銀がETFを買ってくれるということは、マーケットにも安心感が生まれるということ」(川口氏)

「例えば(株を)1社しか買えないと、その会社に何かあったら自分のお金が減る。でもまとめてだと、少しずつ他種類なので、1社や2社良くないことがあって株価が下がっても、他が上がっていれば大丈夫。

マーケットというのは本来需要と供給でできているものなので、中央銀行が特定の企業の株にお金を出すことはできないし、企業がもうからないと株価はあがらない。でも、中央銀行がどかんとETFを買えば、株もあがる。あんまり筋のいい政策ではないんですけれど、それくらいやらないと日本の経済が弱っているということでもあります」(池田氏)

■誰もが景気回復を実感するには何が必要か

大きな目標はデフレ脱却だが、景気回復のアテはあるのか。池田氏は、

「黒田バズーカの1回め以降、企業は、従業員に還元しようとしています。だから大企業の人たちは結構給料があがっている。でも国全体をみてみると、依然として厳しい状況です。まだ“分け前”に預かっていない人も多いので、どうしてもまだまだ節約という風潮になる。

人がどういうときにお金を使うかと考えたとき、半年先、来年などもちゃんとお金が入ってくるとか、年金が貰えるなどの安心感があって、初めてお金を使う。今は先がみえないので、使いにくいんです。そんななかで消費税の税率をあげてしまうとかすると、みんながよけいお金を使わなくなるんじゃないかということを恐れている」

と説明。日銀の決定を一定評価しながらも、「政治も日銀も、両輪でやっていかないとうまくいかない」と結んだ。


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