苦手な人たちとテレビの話 #1小松菜奈似のサイバーエージェント女子

インタビュー・テキスト:武田砂鉄

写真:長谷英史


 「Abema TV」を運営するサイバーエージェントといえば、きらびやかな女性社員がたくさんいる会社として知られる。少し検索してみれば、ネット界隈ではそのポジティブなオーラがしょっちゅう話題にのぼっている。リンク先にある諸々を眺めると、「あっ、苦手」としか思えない。輝いている。自信に満ちあふれている。直視できない。そんな女性陣とテレビについて話しませんか、という。いや、どう切り出していいかすら分からないのでまたの機会に、と逃げようとしたのだが、「たとえば、最初の質問を『芸能人だと誰に似てますか?』にフィックスしましょうよ」と自信満々な構成まで決められてしまった。立ちこめるポジティブ。逃げられないポジティブ。苦手な人たちと、テレビについての話を交わしてみることにする。


 今回登場するサイバーエージェント女子は密山 礼巳さん(25)。入社4年目でアバター・サービス「アメーバピグ」のプロデューサーとして活躍しながらもAbemaTV『芸能㊙チャンネル』にパネラーとして出演中。好きなテレビ番組は『月曜から夜ふかし』『世界の果てまでイッテQ!』『情熱大陸』『王様のブランチ』など。


今でも「イェー、カモン、イェー、カモン」って言い合います

―― ところで今日はどういう企画で呼ばれたか、聞いてますか? 


密山 「テレビとサイバーエージェント女性社員の歴史」だとか。 


―― ほぼ誤報ですね。ところで、芸能人だと誰に似てると言われることが多いでしょう?


密山 小松菜奈さんKARAのハラさんですね。でも、ハラさんはKARAが流行っていた頃に言われてたので、最近はちょっと言いづらくなりました。やっぱり旬な人を言うようにしたいですから。そうやって「誰に似てる?」って聞いてくれる時って、相手が盛り上がりたい気持ちを持っている時だと思うんです。だから、なるべく今どきの子を探して言うようにしています。 


―― こちらから聞いといて何ですが、聞かれること、そんなにあります? 


密山 はい、結構聞かれますよ。私の場合、「誰それに似てる」というより「誰かに似てる」って言われることが多いんで、むしろ、こちらから提案していくスタイルになることが多いんです。結果、研ナオコさんって言われることもありましたけど、他は、なんか恐縮です、みたいな人が多かったですね。


―― 「恐縮です」方面が充実している、と。こういう問いには「こいつ、大きく出たな」って思われ過ぎないような人を挙げる傾向がありますけど、踏み越えていくんですね。


密山 はい。まず、踏み越えて、研ナオコさんを残しとくんです。


―― なんとまぁ。相対する人によって、研ナオコさんの出しどころを調整するんですね。ところで、好きな芸能人はバナナマンの設楽さんだとお聞きしました。どの辺りがお好きなんですか?


密山 面白いだけじゃなく、設楽さんのように、誰も傷つけない笑いっていうのが好きなんです。乃木坂46の番組でも、みんなにすごく優しく接しているなと思いますし、あと、家族も大事にされてますし。  

―― 子どもの頃、欠かさず見ていたテレビ番組ってありましたか。 


密山 『学校へ行こう!』ですね。本当に大好きでした。習い事の曜日、全部外してましたから。


―― 習い事、そんなにいっぱいやられてたんですか。


密山 はい。ピアノ、クラシックバレエ、学習塾……やっぱり録画じゃなくて、生で見ないと、次の日の学校でその話題で持ち切りになっているのについていけなくなっちゃうので。


―― 「ねえねえ、昨日のアレ見た?」って会話、テレビのあるべき姿でしたよね。今はもう、話題が翌日まで持たないですからね。


密山 そうですよね。なかでも『B-RAPハイスクール』っていう企画が好きで、今でも高校時代の友達と会うと、「イェー、カモン、イェー、カモン」って言い合いますから。


―― すみません、それ、どういう状況ですか。


密山 飲み会で盛り上がると。


―― 盛り上がると「いっとく?」みたいな感じになるんですか。


密山 なります。そろそろやっとく、みたいな。 


すみません、岩城滉一さんが宙ぶらりんになったままです


―― 『学校へ行こう!』に出ていたV6の中では誰が好きだったんですか。


密山 最初は三宅さんが好きで、途中から岡田さんに移行しました。あっ、そうだ、『学校へ行こう!』の観覧に参加したんです。そこで岡田さんに一目惚れしたんです。


―― トニセンは?


密山 カミセンです

―― 当時、「私は好きなんだけど、あんまり他の人は理解してくれない」って芸能人、いましたか。


密山 岩城滉一さん寺尾聰さんですね。寺尾さんの『ルビーの指輪』にはハマりましたね。バンドをやってたころによく聞いてました。


―― ちょっと待ってください。いきなり、だいぶ情報が多いですね。『ルビーの指輪』をバンドでカバーしていたということですか。


密山 いえ、その曲はやらずに聴いていただけです。バンドはギター&ボーカルが親友と私で、ベース、ドラムは男の子だったんですが、ギターが2人とも下手過ぎて……。


―― 致命傷ですね。


密山 簡単なコードだけで曲を作りましたが、テーマがいっつも世界平和に行き着くんです。恋愛の曲は1曲もできず、作っても作っても、世界平和の歌になるんです。「生きて、生きて」みたいな。


―― 当時、密山さんの視界はそんなに曇りがかっていたのですか。今、曲を作っても、テーマは世界平和になりそうですか。


密山 そうですね、私、恋愛の曲は向いてないと思うので、どっちかというと日常とか世界


―― 日常とか世界。スケール、でかいですね。あと、すみません、岩城滉一が宙ぶらりんになったままです。


密山 そうでした。みんなが定番のジャニーズが好きだった時に、逆にジュノン系が流行り出したんですよ。私は、それとも違う方向を好きになりかたったんだと思います。でも私、どんな芸能人も好きなんです。嫌いな芸能人を聞かれても、具体名が出てきません。 


鈴木あきえさんが好きなんです 仕切りが上手な方が好きなんです

―― さっきの、設楽さんの傷つけないお笑いが好きだ、という話を踏まえると、頭を引っぱたいて厳しく突っ込みようなお笑いが苦手なのでは?


密山 確かに「そんなに厳しく言わなくてもいいのに」って思う時はあります。言葉は悪いですけど、「どうしてそんなに偉そうなの?」って思ったりもしますし。だって、もっと面白くする方法があるじゃないですか。そんなにみんなを悲しくさせなくても、って。


―― やっぱり平和を願ってるんですね。


密山 前田敦子さんの卒業スピーチ「私のことは嫌いでも、AKB48のことは嫌いにならないでください」を聞いて、彼女のファンになったんです。あれも、とっても優しいスピーチだったじゃないですか。今はもう欅坂46にシフトしていますが。


―― 欅坂46、どの辺りが気に入っているんですか。


密山 やっぱりアイドルって、未完成のところから応援するのが何よりの喜びで、欅って、まだまだ粗いところが残っていて、ダンスだとか、受け答えだとか、まだまだって思うことが多くて、そこがたまらなくかわいいんです。


―― そもそも、ああいったアイドルには、最終的に管理しているオジ様がいますよね。確かに未熟なところもあると思いますけど、管理している側が売り出している「未熟なものとしての完成品」とも言えますよね。僕、あまり世界平和を考えたことがないので、つい、そうやって逆から見てしまうんですが……。


密山 AKBの松井珠理奈さんが秋元さんと「755」で話してて、「早く寝なさい」みたいなやり取りをしていました。


―― 気持ちが悪いですね。


密山 でも、珠理奈さんは「はーい、やすすパパ」って返信したんですよ。


―― ざわざわします。


密山 姉もAKBファンなんですが、二人の間では、それ以来、やすすパパ、もしくは、やすすって呼んでます。神曲が生まれると、「やすす、本気出したね!」とか盛り上がっちゃいます。なんだか偉そうなんですけど。


―― やすす、本気出さない時もありますもんね。話は変わりますが、『王様のブランチ』を欠かさず観ているとか。


密山 何も考えずに土曜日の午前中につけて、ボーッと見ていられるのがいいですね。LiLiCoさんの映画紹介やランキング見て、今日、これから何の映画観るか決めたりしています。


 ―― ずいぶんと土曜の朝から元気がいいですね。 


密山 あと私、鈴木あきえさんが好きなんです。仕切りが上手な方が好きなんです。


―― じゃあ、新人さんはまだちょっとまだ甘いな、と思ったりもしますか。


密山 はい。 


テレビ観ながら舌打ちしないんですか?

密山 土曜日は『王様のブランチ』くらいなんですけど、日曜日のテレビ番組の流れは決まっていて、8時から『世界の果てまでイッテQ!』で笑って、9時から『行列のできる法律相談所』でも笑って、明日、会社控えてるな、って思いながら11時から『情熱大陸』を見て「私も頑張ろう」と思い、その後でお風呂に入ります。出てから、改めてアイドルに元気をもらうんです。乃木坂46が12時から、欅坂46が12時半から番組を持っているので。日曜日の夜でメンタルを整えるんです。


―― そこまでして整えないと、月曜日を迎えられないんですか。


密山 迎えられるとは思うんですが……もう習慣化してしまいました。


―― 結構テレビを見ていらっしゃいますね。今、「テレビなんて面白くない」って片付けられることが多いじゃないですか。何か思うところはありますか。


密山 以前は、つけたらそのまま見続けてたんですけど、今はこうやって決まったものを、自分で選んで見るようになりましたね。少し見てあんまり……と思ったら、すぐにテレビを消すようになりました。


―― やはり、「ながら見」してると、デヴィ夫人の豪邸とかを何回も見たりするじゃないですか。


密山 しますね。


―― あれっ、これ、この間も見たぞっていう。あれはおおよその人にとって無駄な時間です。しかしながら、人間って効率的な時間ばっかり過ごせません。どうでもいい時間を過ごしちゃった、ってことはないんですか。


密山 効率的になったとはいえ、ソファから起きられなくて、そのまま見続けることありますよね。あっ、あと私、最近は放送局で選ぶようになりましたね。日テレとテレ朝が多いんです。


―― 密山さん、テレビ観ながら、舌打ちとかされなさそうですよね。僕は毎日しています。そういう舌打ちを人と共有したりしないですか。


密山 しないですね。学校の倫理の授業で「スケープゴーティング現象」っていうのを習いました。誰かを叩くことによって、こっちの仲が深まるという。それを知って、悪口を醒めた目で見るようになりました。あっ、今のこれ、あの現象だと思うようになって。


―― ご自分をポジティブだと思いますか。


密山 そうですね、思います。そこぐらいしか良さがないかもしれません。こういう性格になったのも周りの友達の影響が大きくて、本当に否定的なことを言わない子が多かったんですよ。否定的なことを言う自分が好きになれなくて、性格も変わった気がします。今日お話しして、『B-RAPハイスクール』の「イェーカモン、イェーカモン」にも原因はあるのかもしれないって思いましたね。あれ、すっごいポジティブな企画でしたから。  


 お邪魔したのは今のところ2回だけなのだが、サイバーエージェントの社内は実に活気に満ちている。生まれてこのかた、あらゆる活気を回避してきた人間にとっては、なかなか健やかな環境ではない。こちらの日課といえば、黙々とスケープゴーティング現象を作り出すことだ。でも、だからこそ、皆さんと、テレビの話を、芸能人の話を、と思う。今、テレビというのは普遍的なメディアではなくなってきたと言われる。しかし、相容れない「あっち」と「こっち」の緩衝材ではあり続けるのではないか。そのことをじっくりと確かめていきたい。


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