今の福島は「復興ではなく復旧」 地元が語る“現場と行政のズレ”

7月12日に、福島第一原発による避難指示が、南相馬市小高区をはじめとした地域で解除された。対象は従来の最大規模となる1万800人。除染の問題やコミュニティ・インフラの消失、賠償の問題など山積みの状況であるが、現地の人は今、何を必要としているのだろうか。

7月12日当日の「AbemaPrime」では、イケキャス.の青峰佑樹が南相馬市より中継を行い、南相馬市を中心に復興支援を続ける地元の人で構成された団体「福興浜団」の代表以下3名に、インタビュー中継を行った。



■立ち入り制限解除から4年……本当に人は戻るのか

福興浜団の代表、上野敬幸氏は震災翌年立ち入り制限解除から4年立ってからの避難指示解除は長かったと感じているという。

「沿岸部など世の中的には復興していると言われるが、復興しているとは思っていない。今工事をしているのは今まであったものの“復旧”であり、“復興”ではない。復興というのは、気持ちの部分が大きいのだと思う。いのししや猿が荒らしているところに、いきなり『戻ってください』と言われても難しいものがある」

と、避難指示が解除されて、建物や道路ができただけでは本当の復興にはほど遠い現状とのギャップについて語った。


■「人付き合い」というインフラが欠落した現状

ゲストコメンテーターの若新雄純氏は「地方は東京のようにコンビニがない。細かくバスも走っていない。そこに生活している人たち同士で助けあっている。人自体がインフラになっているんです。あの人戻ってないなら僕はむりかなと永遠に戻らないのでは」とコメント。

また、今回の避難指示解除において、戻る意向を示しているのは1万800人の中で2割ほどの人々だというが1年以上前に避難指示が解除された20km圏内南側の地域では、わずか8%の住人、それもほとんどお年寄りだという。


■行政は今後、どう対応していく?

番組ではさらに福島復興局南相馬支所の武者透さんと電話中継を行った。

武者さんは、今回の避難指示で戻ってくるのは高齢者の方が多いとしたうえで、今後の課題は地域コミュニティと高齢者に対する支援だという。

具体的な施策としては「ボタンを押すと警備会社に繋がる『安全通報システム』や、地域コミュニティの復活につながるイベント事業に力を入れていく」そうだ。

武者さんは「このような取り組みを継続して、あるいは帰還された方を対象として従来からのジャンボタクシーをより便利になるように増便するなど、一人でも多くの人が帰還できるようにする」と話した。

原発ジャーナリストの木野龍逸氏は「行政はがんばっていると思うが、本当に生活を元に戻す対応ができるかということは難しい。コミュニティを復興できるようなニーズに対する対応ができているかは疑問。インフラの整備もあるが、放射線の問題が事故前よりはるかに高いレベルの状態であることを無視してはいけない」

と、行政の対応について、住民のニーズとのずれを示唆した。


■人々が「笑顔」を取り戻すのはいつ?

福興浜団の上野氏は、瓦礫の除去や家の片付けといった作業支援のほか、住民が少しでも笑顔になれるような活動を続けているという。菜の花を植えたり、花火を行うこともその活動の一貫だ。

福興浜団は、8月11日に追悼復興花火を予定しているという。行政、住人それぞれの活動が実を結び、「笑顔」を取り戻せる日が来ることを望みたい。


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